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2020年末出店! 「ロピア府中フレスポ店」の売場をレポート

2020年後半もロピア(神奈川県/高木勇輔社長)の勢いが止まらなかった。関東では、9月に「田無店」(東京都西東京市)、関西では9月から3カ月連続で新規出店と、凄まじい出店攻勢をかけている。そして12月7日に、東京都8店目となる、「府中フレスポ店」(東京都府中市)をオープンした。2021年1月時点におけるロピアの最新店である、同店の売場をレポートしていく。
(調査日2020年12月23、28日、2021年1月6日 ※本文中の価格はすべて本体価格)

ロピア府中フレスポ店の外観

ロピアはSCの“救世主”

 「府中フレスポ店」はJR武蔵野線「北府中」駅から西に約1km離れた場所にある、ショッピングセンター「府中フレスポ」内にある。交通量の多い「新府中街道」沿いにあり、周辺は、住宅密集地となっている。

 府中フレスポ店が入るのはSC1階で、「TSUTAYA」の撤退跡に出店した。同店のオープンから約1週間後に100円ショップの「セリア」が開業。そのほか、SC1階には「ユニクロ」「セガワールド」が入る。SC2階では「ベビーザらス」「東京靴流通センター」「セガワールド」などが営業中だ。

 府中フレスポ店の売場面積は約530坪(歩測)で、ロピアのほぼ標準となる。競合店としては、約150m離れた同じく「新府中街道」沿いにある「テックランドヤマダデンキ」内に「サミット西原店」が店を構える。

 600坪近いテナントスペースを埋めることができるチェーンはそれほど多くない。SCの運営者が集客力の強い食品スーパーを誘致するとなると、最近は「ロピア」が真っ先に候補に挙がるのではないだろうか。デベロッパーにとって、広域から集客可能な食品スーパーであるロピアはまさに“救世主”であるに違いない。

店舗コンセプトは「食の専門店街」!?

 売場配置は、既存店でもおなじみの、ワンウェイ方式を採用。主通路の床には鉄道のレールのイラストが描かれ、入口青果売場に「START」、ヨーグルトコーナー付近に「GOAL」とある。この主通路の約120mが、ロピアがたびたびキャッチコピーとして掲げている「食の専門店街」であるのかもしれない。

主要部門の売場を見ていこう。導入部の青果売場は作業場と一体化させ、壁面と入口付近に配した平台4台で“青果ゾーン”を形成する。
入口は狭く、店内に足を踏み入れるとすぐに旬の果実が目に飛び込んでいる。入口付近では、開店目玉商品としてイチゴの売り込みにチカラを入れており、長崎県産「ゆめのか」、栃木県産「とちおとめ」 (各299円)、福岡県産「博多あもおう」(399円)などを平台に陳列。多くのお客が2~4個ほどを買物カゴに入れていた。

野菜コーナーでは、「白菜1玉」「ネギ3本」「えのき2袋」を99円、「キャベツ1玉」「大根1本」「レタス1玉」「ほうれん草1束」を79円、「もやし200g」は19円で提供するなど、売れ筋のほぼすべてで価格訴求を行っていた。青果売場だけで買物カゴがいっぱいになってしまっているお客もいた。

精肉では豚肉の販売に注力か

 続く精肉売場では、壁面36尺の冷蔵ケースで豚肉コーナーを展開する。豚肉はセンター納品商品を扱い、「豚ももスライス」「肩ロースブロック」「ロース切身」「豚しゃぶしゃぶ」「生姜焼用」と言った具合に、カット・メニュー別に商品を陳列している。この店舗では、豚肉を強化しているようで、豚肉の売上高構成比が既存店よりも高くなると想定しているのかもしれない。

 豚肉コーナーから壁面で続く鶏肉コーナーでは、店内パック詰めしたと見られる商品を揃え、国産は「越後鶏」、輸入品では調査日がクリスマス前ということもあってタイ産の「ローストチキン5本」(980円)など大きく売り出していた。

店舗奥側壁面で展開する牛肉コーナーも豚肉と同様に、「すき焼き」「牛ブロック」「ステーキ」「焼肉」と、カット・メニュー別に商品を陳列。「国産黒毛和牛」は栃木産、北海道産を揃え、自社ブランド「みなもと牛」は千葉産、宮城産をラインアップ。輸入牛は米国産「プレミアムアンガス牛」、豪州産「鳴尾牧場牛」を扱う。

ロピアの店舗では、青果の次は鮮魚売場とすることが多いが、府中フレスポ店では精肉を配置している。青果に続く売場を鮮魚にするか、精肉にするかは店舗構造にあわせて決定していると思われる。

ロピア府中フレスポ店の売場レイアウト(筆者作成)

隠れた差別化部門!? 注目の鮮魚売場

 壁面40尺と平台で展開する鮮魚売場は、ほかの店舗と同様に刺し身の扱いはなく、壁面ではタコやブリ、イワシ、サーモン、イクラ、ウニなどの素材を大きく扱う。その代わりに力を注いでいるのが寿司で、16尺のスペースに、「魚萬寿司9貫」(1190円)、「同18貫」(2200円)、「30貫」(3300円)、「40貫」(4400円)と大ぶりなネタが特徴の寿司をバラエティーに富んだラインアップで提供する。「いくら丼」(990円)、「うに丼」(1290円)、「海鮮たっぷりちらし寿司」(990円)など丼物も充実させている。

 平場では、高知県産「生本まぐろ中トロ(養殖)」(100g790円)、和歌山県産「生本まぐろ赤身刺身用(養殖)」(100g690円)などマグロはサクを大きく扱う。調査時は、冷凍の「たらばかに太足800g」(9900円)、「ずわいがに700g」(3980円)、ロシア産「毛かに1杯」(2000円)、「塩カズノコ400g」(1290円)など正月用の商品を豊富に揃えていた。

 ロピアの鮮魚売場に並ぶ商品は、一般的な食品スーパーとは違って、容量が大きく、ラインアップも売れ筋に絞っている。そのため、少量を購入したいというお客はロピアの鮮魚の商品構成を不満に思うかもしれないが、量目を重視しないお客はその安さに驚くことだろう。精肉に注目されがちなロピアだが、最もほかのチェーンとの違いが見られるのは、意外と鮮魚売場であるのかもしれない。

 後編では、注目の総菜売場のほか、日配、加工食品、菓子、酒類などの売場を解説していく。

(店舗概要)
開店日 2020年12月7日
所在地 東京都府中市西原町1-6-2
アクセス JR武蔵野線「北府中」駅より徒歩約10分
店舗面積 約530坪(歩測)
店舗構造 鉄筋4階建て(1、2階:店舗、3、4階:駐車場)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 353台 
駐輪台数 300台
レジ台数 11台(セルフ精算機22台)