70万超の人口を誇る九州有数の都市である熊本市は、トライアルも重要視する市場の一つだ。2021年には同社最大級のフォーマット「メガセンター」を市内に出店し、売上は絶好調に推移。その追い風に乗るように今年2月に開業したのが、「スーパーセンター(SuC)トライアル尾ノ上店」(以下、尾ノ上店)だ。熊本ドミナント本格深耕の号砲ともいえる同店の売場づくりをレポートする。
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“ディスカウント銀座”に主力フォーマットを出店
尾ノ上店が位置するのは、熊本市中心部から東へ5㎞ほど離れた場所だ。ちょうど市街地と郊外部の境目に当たるエリアで、周辺は戸建て中心の住宅街が広がるほか、店舗南側は大規模な自衛隊の駐屯地がある。
熊本市内は九州の中でも、ディスカウント型食品スーパー(SM)がしのぎを削るエリアの一つとして知られる。尾ノ上店の近隣でも、南西約250mに「鮮ど市場本店」、約400m北に「スーパー・キッド新外店」、約700m東には「ロッキースーパーストア佐土原店」と、価格競争力の高い地場SMが点在している。また同じ通り沿いに400mほど離れてホームセンターの「DCM東町店」があり、尾ノ上店の非食品部門との競合度合いが高い。
トライアルは21年6月、尾ノ上店から北西へ約6㎞離れた場所に、店舗面積6000㎡を超える大型フォーマット「メガセンタートライアル上熊本店」(以下、上熊本店)を開業している。同店は平日・週末を問わず広域から集客する繁盛店となっており、それまで小型店を除くと店舗のなかった熊本市内において、トライアルの認知度と支持を一挙に高める存在となった。
同店の開業からおよそ3年を経て、トライアルは主力フォーマットであるSuCを満を持して出店。上熊本店とともに、熊本市内でのさらなるシェアと顧客ロイヤルティ向上を図り、ドミナント深耕を本格化させる構えだ。
尾ノ上店の店舗面積は4064㎡。売場サイズも品揃えもSuCとしてオーソドックスなものになっているが、前出の丸亀店同様、食品の商品政策(MD)では地域対応が強化されている。また、ペット用品や農業用品、カー用品など非食品でも地域需要の高いカテゴリーの品揃えを拡充。上熊本店に比べ売場サイズはコンパクトなぶん、地域対応とワンストップショッピングの利便性をうまく掛け合わせることで、“日常使いしやすいSuC”をつくり上げた。
青果と鮮魚で高まるオリジナル商品の存在感
まず
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