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“東京のローカルチェーン”、文化堂は都心一等地でこう戦う!

“東京地盤”のローカルチェーンとして食品スーパー19店舗を展開する文化堂。同社は東京都江東区の豊洲エリア周辺に4店舗を展開しており、このドミナントの核となるのが「フレッシュフードストア文化堂豊洲店」(以下、豊洲店)だ。やや小ぶりな店舗であるが、都内の食品スーパーの売上高ランキングでは上位に食い込む繁盛店であると見られている。なぜ、この店は多くの客から支持されているのか。売場から探ってみた。
調査日=8月14、16日 ※本文中の価格はすべて本体価格

人口増加に伴い存在感高める!

 豊洲店が開業したのは2005年のこと。ホームセンター「スーパービバホーム豊洲店」の2階部分にある店舗で、売場面積は約350坪(歩測)。周辺は高層オフィスビルやタワーマンションと昔ながらの団地が共存しており、最近はオリンピック関連施設などが建設され、人口は増加傾向にある。

 豊洲店は開店時から繁盛していた店舗であるが、人口増に伴い、近年その存在感をじわじわと高める。スーパービバホーム豊洲店も開店時から大きな変化はなく、プロから一般客まで幅広い顧客を呼び込んでいる繁盛店だ。

豊洲店の売場レイアウト

①青果
日替わり商品の売り込みを重視!

 豊洲店の売場の特徴に迫っていこう。売場スペース構成比では生鮮4部門(青果・鮮魚・精肉・総菜)が39%、日配が24%で、両部門合計で63%を占める。とくに青果は生鮮部門の40%を占める強化部門で、青果でお客を引き付けている店舗であることが窺える。

 入口に配置した青果売場では、前面の平台で日替わりの野菜を訴求。その周辺をバナナやオレンジ、グレープフルーツといった色とりどりの果実で囲んでいる。壁面の冷蔵ケースは、茨城県産「黄門ちゃ豆1袋」といった季節商品に、ほうれん草、小松菜などの葉物を続け、マグネットとなるもやしにつなげる、機能的な配置としている。

 主通路に配置した3台の平台では、台ごとにテーマを持たせた陳列となっている。入口から見て、最前列では梨やカットスイカのほかトマトやレタスなどを販売。2列目は、なすニンニク、ピーマン、しいたけ、しめじなど、最後列ではキャベツ、タマネギ、ジャガイモを配置。バラ売りや小サイズの商品はカゴに入れて見やすくするなど細やかな対応もできており、お客が買いやすい売場づくりがなされている。

 サービスカウンター前では、ギフト用のメロンやカットフルーツなどを販売する。どの商品もよく売れており、売場担当者は補充に追われているようだ。全体的に日替わり販促の商品が多く、活気のある売場となっている。

 

②鮮魚・精肉
日曜販促を重視したオーソドックスな売場

 青果売場から和日配を挟んでつなげるのが鮮魚売場だ。生鮮売場におけるスペース構成比は21%。壁面に塩干、丸物、刺身、冷凍魚を配置しており、刺身では「3点盛」(980円)などを販売する。平台は切身がメーンで「鮪」「鰻」「鮭」「貝」などを並べるほか、「お魚屋さん海鮮丼」(498円)や関連乾物も揃える。

 販促では毎週日曜を「まぐろの日」として、「お刺身用ばちまぐろ中トロサク」(100g798円)、「お刺身用ばちまぐろ赤身冊」(100g498円)などを訴求している。

鮮魚売場で販売する海鮮丼。ボリューム感があるが、498円とリーズナブルな価格となっている

 続く精肉売場の生鮮売場におけるスペース構成比は20%で、壁面と平台を展開するとオーソドックスな売場となっている。牛肉は国産黒毛和牛を扱うが、生産地の銘記はなかった。輸入牛は豪州産をメーンに米国産も一部揃えている。

 豚肉は、国産が新潟県産「越後もち豚」を軸に、山形産も販売。輸入豚はカナダ産で対応する。鶏肉は宮崎県「日南どり」、鹿児島産「薩摩赤鶏」などの銘柄鶏を揃え、価格訴求品として輸入鶏はブラジル産の扱いもある。ラム肉の取り扱いもあり、ニュージランド産の商品を販売する。

 販促は、鮮魚と同じく日曜に「国産黒毛和牛小間切れ」「モモブロック」「モモステーキ用」といった牛肉の半額セールを実施する。また、新潟産「越後もち豚小間」、カナダ産「ハーブ三元豚主しゃぶしゃぶ用」など豚肉の3割引きセールも行っている。

②総菜
専門店テナント導入で豊富なラインアップを展開

 総菜部門では、直営売場だけでなく、水産卸が運営する寿司店「やまと水産」、本格中華テイクアウト専門店「上海飯店」を導入しており、商品ラインアップの幅を広げている。やまと水産では、680円の8貫パック、1120円の中トロ入り10貫パックなどさまざまなグレードの商品を揃える。上海飯店も揚げ物、飲茶、中華サラダなど中華総菜を豊富に揃えており、専門店の強みを生かした売場づくりができている。

専門店の強みを生かし、ゴマ団子など一般的なSMではあまり見られない中華総菜を揃えている

 直営の総菜売場では、フライを中心にパック総菜や弁当を扱う。「ロースとんかつ」(1個398円)、「棒ヒレカツ」(1個980円)、「餃子」(6個200円)などを販売。毎週水曜は「コロッケの日」として、コロッケなどのフライ単品を1個68円で提供する。

 弁当では、「たいめい軒監修シェフのハンバーグ弁当」「ロースかつ重」「鮭弁当」のほか、「宮城県産銀ちゃんはらこ飯重」「季節のミニ天丼」といった具合に丼ものも充実させている。売場全体のバランスを見ても、総菜を重視しているのは間違いなさそうだ。

 後編では日配とグロサリー、酒類の売場をレポートする。

(企業概要)
所在地 東京都品川区二葉4-2-14
創立 1953年
代表者 山本敏介
売上高 220億円(2018年度)
店舗数 東京都内12店、神奈川県7店

(店舗概要)
所在地 東京都江東区豊川3-4-8
開店日 2005年8月
売場面積 約350坪(歩測)
営業時間 10:00~23:00(日曜日9:00開店)
駐車台数 850台(共有)