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”尖り”がないからこそ要注目!? ライフの新店「ビエラ蒔田店」の売場を解説!

ライフコーポレーション(大阪府)は10月20日、神奈川県横浜市南区に「ライフビエラ蒔田(まいた)店」をオープンした。首都圏に広く店舗を展開する同社だが、蒔田店周辺の自社店舗は最も近い店で約8㎞離れており、店舗空白地への出店。最新の新店MD(商品政策)を取り入れ、マーケットシェア拡大を図る。※文中の価格は本体価格

店舗空白エリアへ満を持しての出店

横浜市内の複合施設内にオープンした「ライフビエラ蒔田店」

 蒔田店が位置するのは、横浜市営地下鉄ブルーライン「蒔田」駅から約200m、旧南区総合庁舎跡地に開業した複合施設「VIERRA蒔田」の1階。売場面積は約1700㎡、約1万9000SKUを取り扱う。

 店舗から半径1㎞圏内には2万6474世帯/5万1061人が居住。少人数世帯の割合が比較的高いが、年代別では大きな偏りはなく幅広い年代層が住む。

 競合店としては「横濱屋蒔田店」「マルエツ井土ヶ谷店」「FUJI横浜南店」「サミット井土ヶ谷店」などがあり競争は激しい。一方で自社店舗は最も近い「大口店」で約8km離れており、蒔田店周辺はライフにとっては店舗空白地の1つだった。そのため「ライフの認知度は(既存の出店エリアと比較して)高いとは言えない」(広報)という。

 こうした商圏特性を踏まえ、蒔田店では最新の新店MDを導入しながら幅広い年代層のニーズに即した品揃えを追求。とくに、事前のアンケートで要望の多かった鮮魚と精肉の売場づくりに力を入れた。

鮮魚と精肉の鮮度&品揃えを武器に

 まずは、注力したという鮮魚と精肉から実際の売場を見ていこう。

 鮮魚は活気あふれる対面販売コーナーを目玉に、新鮮な丸物をダイナミックに展開。オープン日は旬の「秋刀魚」を平台に並べ旬も演出していた。

鮮魚は対面販売を行い、新鮮な丸魚を豊富に展開

 刺身の品揃えも充実しており、オープン日は「高知産金目鯛」「鹿児島産やがら」「山形産甘鯛」など高級魚の刺身を重箱を模したデザインのパックに入れて販売。既存店で人気の高い鮮魚寿司「うを鮨」では、「てまり寿司」「ケーキ鮨」「9種の彩り海鮮丼」など見た目にも華やかなメニューも多く揃えた。

オープン日は高級魚の刺身も多く揃えていた

 このほか、保存に便利な冷凍魚は専用の冷凍平台什器でコーナー展開し、鮮度を逃さない真空パックの干物や焼き魚などを販売していた。

 もう1つの強化部門である精肉では、ファミリー層も多いことから焼き肉向け商品を強化したほか、肉総菜の販売にも力を入れる。

 前者についてはライフではおなじみの「かみふらの和牛」を軸にさまざまな部位・量目のパックを展開するほか、オープン記念商品として焼き肉やステーキ肉、ソースなどを盛り込んだ「黒毛和牛の肉袋」を先着100名限定で販売していた。

オープン記念商品の「黒毛和牛の肉袋」(数量限定)

 肉総菜に関しては「豚ヒレ一本揚げ」(1本580円)や「国内産あまに鶏ももから揚げ」(100g・198円)などフライ類を中心に売り込んでいたほか、「黒毛和牛ローストビーフ」(70g・880円)をはじめ、ローストビーフをさまざまな量目・種類で提案していた。

肉総菜は揚げ物メニューの存在感が大きい

総菜売場は「鉄板メニュー」「おにぎり・弁当」を訴求

 総菜売場は、売場と調理スペースがガラスなど遮るものなく融合したような開放感あふれる雰囲気が特徴。とくに、売場に面して設置された大きな鉄板での調理作業がシズル感を演出する。

 商品面でもこの鉄板で焼き上げられたメニューが目玉になっており、鮭の切り身が大胆に乗っかった「鉄板鮭チャーハン」(598円)や「焼きそば」(298円)などがボリューミーに陳列されていた。

鉄板で焼き上げるメニューの中でもとくに目を引くのが「鉄板鮭チャーハン」

 また、近くの川沿いが桜の名所であるなど行楽需要も一定数見込まれることから、おにぎりや弁当の品揃えも充実。おかずとおにぎりがセットになった「おにぎりプレート」は洋風・中華の2種類を展開(各498円)するほか、3種以上の具材を使った「おにぎりサンド」も「紅鮭玉子」「ランチョンミート」(各298円)など複数のメニューを揃える。

ピクニックなどにぴったりな「おにぎりプレート」

 弁当では厚切りの魚の切り身を盛り込んだボリューム感たっぷりの焼き魚弁当を訴求。「三陸産さば塩焼き弁当」「縞ほっけ塩焼き弁当」(各698円)などが並んでいた。

尖った要素がないからこそ問われる真価

 このほか蒔田店では、ライフの自然派PB「ビオラル」のコーナーを軸に、食品売場の各所でナチュラル・オーガニック商品を展開。青果売場でも有機野菜を多く取り扱うほか、神奈川県産の地場野菜もコーナー展開し安心・安全を訴求している。

 また、加工食品のゴンドラエンドでは、北海道のアンテナショップ「どさんこプラザ」の人気商品を集積。期間限定の取り組みだが、今後定番化することも検討しているという。

 蒔田店はこれらの取り組みにより、年商27億円の達成をめざす。広報担当者は「商圏特性も売場づくりも、何かずば抜けた特徴があるわけではない」と話すが、だからこそライフの真価が問われることになるともいえるだろう。ましてや店舗空白地への出店、周辺には有力な競合店がひしめくという状況。ライフの最新MDが地元住民に支持され、マーケットシェアを高めることができるか。”尖った要素”がないからこそ、注目に値する店である。