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売場面積約7坪!「品川」駅構内で総菜専門店と戦う 東急ストアの小型店

 東急ストア(東京都/須田清社長)は12月、JR東日本旅客鉄道(東京都)がJR「品川」駅構内で運営する商業施設「エキュート品川」内に、「東急ストアフードステーションミニ エキュート品川店」(以下、エキュート品川店)をオープンした。デリカを主に販売する、売場面積は約22.57㎡(6.83坪)という超小型店に初めて挑戦しており、近年力を注いでいる小型店開発に弾みをつけたい考えだ。

JR「品川」駅構内の商業施設内に出店した「東急ストアフードステーションミニ エキュート品川店」

約25の食の専門店が
集積する激戦区に出店

 エキュート品川店は、「エキュート品川」の1階、総菜やスイーツの専門店を約25店集積する「いろどりフード&スイーツ」エリアの中央部に出店している。東急ストアが近年開発を進める駅ナカ小型店を見た、JR東日本グループの東日本クロスステーション(東京都)から出店検要請を受けて開業した。売場面積は非常にコンパクトだが、今後の駅チカ・駅ナカ出店の足掛かりになると判断したという。

 東急ストアにとって「フードステーション ミニ」フォーマットでの出店は同店で2店目だ。しかし2号店として、東急電鉄「二子玉川」駅構内にオープンした「二子玉川駅構内店」(東京都世田谷区:19年11月開業)は「ミニ食品スーパー」という位置づけであるのに対し、エキュート品川店は「デリカショップ」という全く別の業態としてとらえ店舗開発を行っている。

 具体的には、新幹線の停車駅であることから、駅を利用するオフィスワーカーとともに、出張者や旅行者をメーンターゲットに設定。駅ナカに出店する食の専門店を参考にして、オペレーションや品揃えを組み立てている。

自社PCの活用で
約90SKUのデリカを販売

 では、実際にどのような店づくりを行っているのか。
 エキュート品川店は、コンセプトに「日常使いのできるデリカショップ」を掲げ、多くの専門店が至近で営業するなか東急ストアが強みを発揮できる点として「シーンで選べる品揃え」と「手ごろな価格」の実現に力を注いでいる。

 商品は、デリカをはじめ、菓子やつまみ、酒類、飲料を合わせて計167SKUを販売。主力のデリカは、弁当を中心に、おにぎりやサンドイッチ、総菜、寿司、サラダ、ベーカリーなど87SKUを揃えている。エキュート品川店は狭小店で、調理場を設けられるスぺースはない。そのため、プロセスセンター(PC)などの既存のインフラを活用し幅広い品揃えを実現しているのが特徴だ。同社の「東扇島PC」「長原PC」「中目黒ベーカリーPC」の機能や、アウトパック商品の機能を生かして、幅広い品揃えを実現している。

自社の3カ所のPCとアウトパック商品を活用し、87SKUのデリカを揃える

 デリカは、店舗の立地が既存店と大きく異なるため、基本的に自社商品やアウトパック商品ともにエキュート品川店向けに新たに開発している。

 なかでも特徴的な商品を挙げると、デリカの中でも最も多い約20SKUを揃える弁当では、牛タン専門店「利久」による「牛たんシチュー弁当」や、カツとカレーの店「ジーエス」の「ヒレかつとスリランカ式カレー」などの「専門店監修弁当」を販売。12SKUを扱うおかず・おつまみでは、「おつまみ手羽先」「フランク&ガーリックシュリンプ」など、新幹線の中や家庭の食卓など、さまざまなシーンでも楽しんでもらえるような商品を充実させている。

最も充実させた弁当では、専門店監修弁当も販売する
おかず・おつまみ商品は、新幹線の中や家庭の食卓など、さまざまなシーンでも楽しんでもらえるような商品を提供する

 

手頃な価格と
利便性高い商品で勝負!

 筆者は実際に2021年12月25日に同店を訪問した。クリスマス当日だったこともあり、多くの人がエキュート品川に立ち寄り、総菜やスイーツを買い求めていた。やはり認知度・商品力ともに高い専門店が集まり、想像以上の激戦地だ。

 そんななかでもエキュート品川店では手ごろな価格が目にとまった。たとえば弁当はその他の専門店では1000円を超える商品が多いなか「黒トリュフソースのビーフカットステーキ重」(698円:税抜、以下同)、「おかず満載 松花堂弁当」(880円)など、しっかりボリューム感もありながら低価格な商品が揃う印象を受けた。

コンパクトサイズで持ち運びがしやすい形状の商品を多く用意しており、移動中の人たちにとって利便性が高そうだ。

 また、「2段弁当 瀬戸内レモンのチキンステーキ」や「デミソースの煮込みハンバーグBOX」(ともに598円)といった、コンパクトサイズで持ち運びがしやすい形状の商品を多く用意しており、移動中の人たちにとっても利便性が高いと感じた。

 もちろん激しい競争を強いられていることは間違いないだろうが、こうした環境で戦う経験は、商品力の向上につながりそうだ。

 エキュート品川店は週平均で800人/日の来店をめざす。東急ストアは今後、東急線沿線を中心とした出店を加速していきたい考え。「フードステーション ミニ」業態については、2号店での利用動向ももとに、今後の出店を検討していきたいとしている。