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冷凍食品、冷凍米飯・麺類を中心に堅調な成長が続く

共働き世帯や単身世帯の増加といった社会構造の変化に加え、冷凍技術の進化による品質向上を背景に、冷凍食品市場は堅調な成長を続けている。

利便性だけでなく、健康志向や多様なライフスタイルへの対応により、家庭における必需品として定着しつつある。

米不足を背景に、冷凍米飯が好調に推移

 KSP-POSデータによると、冷凍食品の期間通算(2024年8月~25年7月)の金額PIは、5万3395円で対前年同期比1.4%増、数量PIは186.6で同1.8%減。原料や物流費の高騰により金額PIは微増となったが、数量PIは前年割れとなった。

冷凍食品は利便性だけでなく、健康志向や多様なライフスタイルへの対応により、家庭における必需品として定着しつつある(Byjeng/i-stock)

 カテゴリー別では、金額PI、数量PIともに前年を上回ったのは、冷凍米飯(金額PIは5552円、同7.5%増)と、冷凍菓子(992円、同3.3%増)、冷凍惣菜・調理(1万2864円、同2.4%増)、冷凍スナック(3366円、同2.2%増)の4カテゴリー。

 とくに冷凍米飯は、米不足の影響を受け24年8月には金額PIが同17%増と大きく伸長した。冷凍米飯で注目の新商品は、ニチレイフーズの「たっぷり卵のえび炒飯」。自家製エビ香味油の風味や具材のボリューム感が支持されている。味の素冷凍食品は、家庭の個食化需要を背景に、1食食べきりサイズ(130g)の「麻辣飯」と「パクチー飯」を投入し好調に推移。秋には「チーズリゾット」を追加し、ラインアップ強化を図った。

 冷凍惣菜・調理分野では、1食完結型のワンプレート商品が人気。ニチレイフーズは「三ツ星プレート」シリーズから中華メニュー2品を発売した。味の素冷凍食品は「ギョーザ」シリーズから「コクうま味噌ギョーザ」を新発売。濃厚な“熟成甘味噌”仕立てでご飯との相性を打ち出した。

冷凍パスタは新商品の投入で拡大基調が続く

 金額PIは前年を上回ったものの数量PIが前年割れとなったのは、冷凍麺類(金額PIは9804円、対前年同期比0.05%増)と、冷凍素材(1万2244円、同4%増)の2カテゴリー。冷凍素材は野菜価格の高騰を背景に需要増が予想される。

 冷凍麺類で大きなボリュームを占めているのが冷凍パスタ。1食完結型の冷凍パスタはコロナ禍以降、拡大基調が続いている。

 日清製粉ウェルナは、25年秋に“もちもち食感”に着目した「マ・マー もちもち生パスタ」を発売する。生パスタは冷凍パスタ市場の約2割程度とまだ低いため、新商品の投入で生パスタ市場の拡大をめざす。また、6月に発売した「マ・マー 特盛りスパゲティ」も400g~420gの大容量と視認性の高いパッケージで好調に推移している。

 ニップンはこの秋にワンランク上の味わい「オーマイプレミアム 至極の」シリーズから新商品〈海老のビスク スープパスタ〉とリニューアル4品を発売。具材やパッケージを刷新し、価値訴求を強化した。テーブルマークは、地域の味を再現した「肉ごぼう天うどん」と「ひもかわうどん」の2品を新発売。さらにラーメン専門店とのコラボレーションによる具付き汁ありラーメン2品と、そば2品も発売し、独自性を打ち出している。

 なお、金額PI・数量PIともに前年割れとなったのは、冷凍弁当用おかず(6957円、同7.1%減)と、冷凍製菓・製パン(176円、同5.6%減)の2カテゴリー。両カテゴリーともに価格改定の影響による買い控えが要因とみられる。カテゴリーによって浮き沈みはあるものの、冷凍食品市場は堅調といえそうだ。

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