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シリアル市場、健康志向を背景に需要拡大 グラノーラ・コーンフレークが好調に推移

コロナ禍での内食機会の増加や健康志向を背景に拡大を続けてきたシリアルの市場。急激に需要が拡大したオートミールはブームが落ち着いてきたものの、コーンフレークやグラノーラといった主要のサブカテゴリーは好調に推移している。

構成比の高いグラノーラは金額・数量ともに大幅伸長

 KSP-POSデータによると、シリアルカテゴリーの2023年8月から24年7月の期間通算金額PIは対前年同期比4.5%増の3198円、数量PIは同2.7%減の7.95となった【図表】

 月別の推移を見ると、23年8月から10月および12月は前年に対し微減となったものの、その他の月では前年を上回った。特に24年6・7月は対前年同期比10%以上の大幅増となっている。

 シリアルはこれまでも堅調に推移していたカテゴリーだが、コロナ禍中は学校給食がなくなったことなども影響しカテゴリー全体が急成長。新型コロナウイルス感染症が5類に移行した23年以降、イエナカ消費の減少や原材料費高騰による価格改定の影響もあり市場が停滞した。しかし23年下期から24年にかけ日常生活が戻ってきたことで改めてシリアルの健康感が評価され、需要も回復してきているようだ。

構成比の高いグラノーラだが、価格も高いため値ごろ感のあるコーンフレークに移行したユーザーも少なからずいるようだ(i-stock/VeselovaElena)

 シリアルにはさまざまなサブカテゴリーが存在する。最も構成比の高い「グラノーラ」の金額PIは対前年同期比12.2%増の1914円、数量PIは同7.3%増の3.68と金額・数量ともに大幅増となった。

 また「コーンフレーク」も金額PIは対前年同期比8.7%増の537円、数量PIは同0.1%増の2.24と好調に推移した。コーンフレークは子供の朝食やおやつとして人気だが、昨今の値上げラッシュにより価格の高いグラノーラから値ごろ感のあるコーンフレークに移行したユーザーも少なからずいるようだ。

 日清シスコはじっくりと香ばしく焼き上げた厚みのあるフレークが特長の「クラフトシスコーン」を新発売。コーン本来のおいしさが感じられる付加価値型のコーンフレークで、大人世代を含めた幅広い年代のユーザー獲得をめざしている。

洋日配売場など、多箇所展開でトライアルを促進

 食物繊維や鉄分、たんぱく質などの栄養素が豊富で白米と比較しカロリーや糖質が低いことから、美容や健康に関心の高い女性から人気を集めた「オートミール」だが、期間通算の金額PIは対前年同期比25.4%減の274円、数量PIは同27.1%減の0.74と、金額・数量ともに大幅減となった。

 コロナ禍に一気に広まったオートミールだが、味や香り、食感が苦手という人も多く、さらに調理の手間もあることから離脱する人が目立っている。こうしたネガティブなイメージを払拭する商品として登場したのが日清シスコの「おいしいオートミール じっくりロースト」だ。同品はロールドオーツを長時間焼き上げることで、香ばしさやしっかりとした食感を実現。そのまま食べるだけでなく、電子レンジや鍋で調理してさまざまなメニューにアレンジしたり、白米と一緒に炊くことも可能だ。オートミールはシリアル同様、朝食利用がメーンとなっているが、メニュー提案により使用頻度の向上が期待される。

 シリアルは菓子売場の近辺、またはコーヒーや紅茶とともに朝食関連の定番棚で展開されることが多いが、今後市場を拡大するにはパンをはじめとした他カテゴリーの売場でもユーザーを取り込む必要がある。ヨーグルトや牛乳など関連性の高い洋日配売場でのアウト展開も積極的に仕掛け、トライアルに結び付けていきたい。