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イオンの総菜SPA化、今後の拠点拡大戦略は?

「総菜SPA」超進化

イオン(千葉県/吉田昭夫社長)が総菜SPA(製造小売)化に本腰を入れ始めた。今年6月、総菜の新たなプロセスセンター(PC)を千葉県船橋市に開設。同PCを拠点に商品開発から販売までのプロセスを刷新し、オリジナリティと専門性を追求した総菜づくりを志向する。イオンが推進する総菜SPA戦略の全貌とは──。

「SMの総菜」の提供価値を変える

 イオンは2024年6月、次世代型総菜PCの第1弾として位置づける、「Craft Delica Funabashi(クラフトデリカ船橋)」の本格稼働を開始した。イオン傘下で畜産・水産・デリカの製造加工などを手がけるイオンフードサプライ(千葉県/戸田茂則社長)が運営を担う。

 クラフトデリカ船橋がコンセプトとして掲げるのは、「まいにち、シェフ・クオリティ」。商品開発から製造、販売まで一気通貫したSPA型の商品づくりを志向しつつ、レストランで食べるような本格的なおいしさと品質にこだわった商品を供給することをめざす。

 食品スーパー(SM)における総菜の役割は、消費者のニーズの変化に伴って変わりつつある。近年はとくに、単身世帯や共働き世帯の増加に伴って、家庭の食卓では個食化が進んでいる。また、コロナ禍を機に「家庭でも上質でおいしいものを食べたい」というニーズが高まり、家庭料理の範疇を超えた新しい食体験が、SMの総菜にも求められている。

 イオン執行役物流担当の手塚大輔氏は、「従来のSMの総菜は家事の補助としての役割に主眼を置き、トラディショナルな家庭の味を再現したメニューが中心だった。しかし、お客さまの喫食シーンや(SMの総菜に対する)期待値が変わるなか、従前の品揃えや出来栄えでは満足されなくなっている」と分析したうえで、「SMの総菜の提供価値を大きく変え、家庭で再現しづらい『シェフ・クオリティ』を総菜で表現するためには、商品開発プロセスにしっかりと踏み込む必要があった」と、クラフトデリカ船橋の開設に至った背景を振り返る。

イオンは今年6月、次世代型総菜PC「クラフトデリカ船橋」を稼働し、総菜SPA化の取り組みを本格化させた

専門人材をPCに“集約”することの重要性

 これまでイオングループでは、各エリアの事業会社が個社のMD(商品政策)のもとで総菜の製造機能を構築し、地域の嗜好やニーズに合わせて商品を供給してきた。しかし、総菜の提供価値を本質的に変えるためには、

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