植物由来、高たんぱくといった価値が見直され、健康食材として再び注目されている豆腐。今後需要を拡大していくには、栄養面をあらためて訴求するほか、さまざまなメニュー提案を通じ、若年層を中心にユーザーの拡大をめざす必要がある。
輸入大豆高騰の影響から豆腐自体の価格も高騰
KSP-POSデータによると、2023年5月から24年4月の豆腐カテゴリーの期間通算金額PIは、対前年同期比2.7%増の1万3217円、数量PIは同3.3%減の126.6となった【図表】。
月別の動向を見ると、金額ベースではすべての月で前年を上回っているものの、数量ベースでは24年3月を除き前年に対し微減が続いている。この動向は豆腐の原材料である輸入大豆の価格高騰が大きく影響している。
ウクライナ危機に加えて中国などの輸入量増加による国際市況の高止まり、輸送費や資材費の高騰、さらに急速に進んだ円安など複数の要因が重なったことで、豆腐製品自体の価格も押し上げられる形となっている。
豆腐は絹ごし豆腐、木綿豆腐に加え、なめらかな食感の充填豆腐やおぼろ豆腐、すき焼きに欠かせない焼き豆腐、油揚げ、厚揚げといった加工品に至るまでアイテムは幅広い。サイズについても300~400gの定番サイズのほか、食べきりサイズの2~3個パック、カット済みでそのまま料理に使えるタイプなど品揃えも充実している。
豆腐は年間を通じて一定の需要はあるが、気温が高くなり冷奴の喫食率が上がる6月から9月、湯豆腐や鍋料理の喫食率が上がる1月が緩やかな山場となっている。
豆腐カテゴリーは食の洋風化などを背景に緩やかな減少傾向だったが、健康志向の高まりやプラントベースフードとしての魅力などから、日本の伝統的な健康食品として再び注目されている。
植物性たんぱくが手軽に取れる食品として再注目
豆腐は食の多様化・洋風化などを背景に長らくダウントレンドにあったが、昨今の健康志向の高まりから、低脂質かつ植物性たんぱくが手軽に取れる食材として需要が拡大。メーカー各社は通常の豆腐のほか、バータイプや電子レンジ対応の半調理品など、豆腐を使った新たな商品を提案している。
さとの雪食品では、常温での長期保存が可能な紙パック入り豆腐「ずっとおいしい豆腐」および「かためのおいしい豆腐」の販売に注力。中でも「かためのおいしい豆腐」は水切り不要で型崩れしにくく、炒め物や煮物など料理にも使いやすい常温保存が可能なロングライフの豆腐となっている。
豆腐は和日配部門を代表するカテゴリーだが、流通各社のプライベートブランドも多く、売場では安易な価格訴求に陥りやすい。しかし原材料や製法へのこだわり、味わいの違いを伝えることで、付加価値商品の提案による単価アップにつなげることができるだろう。
豆腐は味噌汁の具材や冷奴、湯豆腐・鍋物の具材といった和食系のメニュー以外に、麻婆豆腐やスンドゥブといった中華・韓国料理、ヘルシーなサラダの具材としても訴求しやすい。
和食だけでなく若年層も興味を持つメニュー提案で気付きを与え、トライアルの獲得や売場の活性化につなげていきたいところだ。