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アイスクリーム市場、価格改定と記録的な猛暑で23年は過去最高を更新

全国的に気温が高く記録的な猛暑となった2023年夏。天候要因のほか価格改定の影響もあり、アイスクリームの市場規模は過去最高を更新した。定番商品を中心に、季節限定のフレーバーやプレミアム商品なども好調に推移している。今年も春先から気温が上昇していることからアイスクリームの出足は好調だ。

アイスクリームの支出金額は4年連続で1万円超え

 KSP-POSデータによると、アイスクリームの期間通算(2023年5月~24年4月)の金額PIは2万6067円で対前年同期比7.2%増、数量PIは166.16で同0.8%増。23年は全国的に気温が高く記録的な高温となった。とくに春から秋にかけては統計開始以降、もっとも暑い夏となった。そのためアイスクリームの需要は高まり、7月、8月ともに金額PIは4万円を超えており、8月は同12.8%増、9月は同15.3%増と2ケタ伸長となった。また、秋口以降も雨が少なく、温暖な天候が続いたことから、年間を通して安定的な需要に支えられた。天候要因に加え、価格改定の影響もあり、アイスクリームの市場規模は過去最高を更新した。

猛暑となった2023年夏。価格改定の影響もあり、アイスクリームの市場規模は過去最高を更新した(写真はイメージ、iStockよりpilipphoto)

 日本アイスクリーム協会によると、23年のアイスクリーム支出金額は、1万1580円で対前年比6.8%増と、4年連続で1万円を超えた。食費に占めるアイスクリームの支出金額は1.11%と年々拡大。食品全般が値上げし、節約意識が高くなっているが、猛暑の影響でアイスクリームの支出金額は増える傾向にある。

 日本アイスクリーム協会が23年10月に行った調査では、昨年と比べアイスクリーム購入機会が「増えたと思う」と答えた人は41.4%で、「減ったと思う」の11.3%を大きく上回った。アイスクリームを自分で購入している頻度は「週に1回以上」が49.1%とほぼ半数を占めた。自宅でのアイスクリームのストック状況では「1年中ストックしている」は33.8%と、ほぼ3人に1人。また、商品を選ぶとき「同じものにする方」は合計で8割近くにのぼる。定番やロングセラーブランドが根強いカテゴリーといえそうだ。

 フタバ食品の「サクレ」ブランドは今年で39周年を迎えるロングセラーブランド。定番に加え、季節限定のフレーバーが好評で、この春は「サクレWメロン」を新発売。さわやかな青肉メロン味のかき氷に、完熟の甘い赤肉メロンをたっぷり混ぜ込んだWメロンだ。味わいに対する評価が非常に高くなっている。

 森永乳業では、カップアイスの「MOW(モウ)バニラ」を約4年ぶりにリニューアル。ミルクの味わいを引き立てながら、後味のキレをアップさせた。

大人向けのプレミアムアイス、濃厚な味わいが人気

 大人をターゲットにした贅沢な素材を使用したプレミアムアイスも好調だ。よつ葉乳業では、スイーツ感のある「よつ葉 北海道アイスクリーム ドルチェ」シリーズで新たに、ほろ苦いエスプレッソのソースをプラスした「同 芳醇カフェラテ」を発売した。濃厚なミルクのおいしさとコーヒーの芳醇な香りが広がる。井村屋では、ケーキ生地も入った5層構造の「KASANELティラミスアイス」を新発売。冷凍下でもしっとりやわらかい自社製造のケーキ、濃厚なチーズアイス、2種類のソースとココアパウダーの組み合わせが楽しめるティラミスアイスだ。また、江崎グリコでは、厳選素材と独自製法により、糖質を9.9gに抑えながらも濃厚な味わいが楽しめる「SUNAO Special」を発売した。

 アイスクリームは定番商品だけでなく、季節限定やスイーツアイス、健康志向の商品など、豊富なラインアップで市場を盛り上げている。