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食用油市場、価格改定と内食機会の高止まりで23年度も市場規模は過去最高を更新

汎用油の価格改定による単価上昇やコロナ禍以降の内食機会の高止まりに加え、付加価値商品の構成比が高まったことで、23年度の食用油の市場規模は金額ベースで過去最高を更新した。今後も汎用油の価格をキープすることに加え、付加価値商品へのシフトなどを継続的に行っていく必要がある。

低吸油やこめ油などの付加価値商品が台頭

 2023年4月~24年3月の食用油市場は、金額ベースで対前年同期比0.5%増、物量ベースで同4.4%減だった。金額ベースでは過去最高を更新したものの、物量ベースでは前年割れとなった。物価高で生活者の節約意識が高まり、買い控えが起こっていることが予想される。また、少ない油で揚げ物を行う揚げ焼きなどが浸透したことで、使用量も減少しているようだ。

23年度の食用油の市場規模は金額ベースで過去最高を更新した(istock/coffeekai)

 カテゴリー別にみると、キャノーラ油は金額ベースで同1.2%減、物量ベースで同0.7%増、レギュラー油は金額ベースで同26.8%減、物量ベースで同30.4%減となった。21年から続く価格改定により、店頭価格は確実に上昇しているが、23年下期に汎用油の価格上昇が止まったことから金額でも前年割れとなった。汎用油の流通のチラシ販促が減り、露出が減ったことも需要減につながっている。

 汎用油で需要を伸ばしているのが低吸油。日清オイリオグループの「日清ヘルシーオフ」が中心のカテゴリーで、揚げ物の吸油量を減らせるのが特長だ。23年度は金額ベースで同2.8%減、物量ベースで同1%増とほぼ横ばいだが、コロナ前の19年度比では金額で514.9%と確実に市場に定着している。ボリューム的にはまだまだ小さいが、その他のプレミアム油は金額ベースで同47%増、物量ベースで同19.6%増と好調に推移している。日清オイリオグループではこの春、酸化を防ぎ、開封後も鮮度が長持ちする「日清ヘルシークリア」を発売。こうした付加価値商品の提案で、汎用油からのシフトにつなげたいところだ。

 一方、これまで急成長を続けてきたこめ油も金額ベースで同10.1%増、物量ベースで同3.1%増となり、引き続き好調に推移している。

価格上昇のオリーブオイルは物量が大きく減少

 風味が好まれ、定着しているごま油は堅調。金額ベースで同3.5%増、物量ベースで同1.6%減。コロナ禍を機に使い始めた人が継続的に使用していることが推測され、安定した需要となっている。

 オリーブオイルは、金額ベースで同4%増、物量ベースで同21.1%減となった。主要原産国であるスペインでの不作による減産で相場が高騰しており、各社では22年から値上げを複数回行っており、これまでさまざまな料理に使っていた人が、メニューによる使い分けや少量使いなど工夫をしている可能性がある。今年5月にも大幅な値上げを行なっており、今後の動向には注視が必要だ。

 アマニ油やえごま油といったサプリ的オイルは、金額ベースで同7.9%減、物量ベースで同5.4%減となった。アマニ油、しそ・えごま油は厳しい状況だが、サプリ的オイルで伸びているのが中鎖脂肪酸油(MCTオイル)。一般的な食用油に比べ消化吸収がよく、エネルギーになりやすいMCTオイルは、金額ベースで同39.4%増、物量ベースで同60.1%増、アマニ油に次ぐボリュームに育っている。MCTオイルを使用した加工食品が発売されていることから認知が広がり、さらに市場は拡大することが予想される。