簡便性の高さや保存のしやすさからコロナ明け以降も堅調に推移している冷凍食品のマーケット。ワンプレートの冷凍弁当や冷凍菓子など新たなサブカテゴリーも登場し、売場にも活気が生まれている。
コロナ禍が明けて売れ筋カテゴリーにも変化
KSP-POSデータによると、2023年4月から24年3月の冷凍食品カテゴリーの期間通算金額PIは対前年同期比0.1%減の4万8467円と前年並みの数字となった。
月別の金額PIの傾向を見ると、23年4月から6月までは前年に対し微増で推移したものの7月から前年割れとなり、これが24年2月まで続いた。24年3月に入ると、またプラスへ転じている。
20年前半から数年間続いた新型コロナウイルスの感染拡大により自宅で過ごす時間が増え、簡便性が高く日持ちのする冷凍食品の需要が一気に拡大。新型コロナウイルスが5類に移行した後、リモートワークの解除など外出機会が増えたことで以前のような勢いはないものの、価格改定などの影響で他カテゴリーが苦戦する中、現在も堅調に推移している。
この消費動向を受けて流通企業でも冷凍食品コーナーを拡大する動きが加速。冷凍空調設備のレイテックによると、昨今の電気代高騰の影響もあり、省エネ設計の冷凍ショーケースを導入する企業が増えているという。
冷凍食品はピザやグラタンといった定番メニューをはじめ、チャーハンやピラフなどの米飯系、餃子やシューマイなどの総菜系、冷凍野菜や冷凍うどんなどの素材系にいたるまで、商品バリエーションの豊富さが魅力だ。
日本冷凍めん協会では協会の公式サイトやSNSで冷凍めんを使ったさまざまなレシピを紹介。また10月10日の冷凍めんの日に合わせキャンペーンも予定している。
ワンプレート弁当をはじめ新たなカテゴリーも好調
【図表】に挙げた「冷凍和風惣菜」「冷凍弁当」「冷凍今川焼・たい焼」はバリエーション豊富な冷凍食品の中でもとくに好調だったサブカテゴリーだ。
ワンプレートで食事が完結する冷凍弁当は、昨年に続き好調に推移している。ニップンは「いまどきごはん」シリーズに「具だくさんミートドリア」「チーズタッカルビ丼」を追加。さらに和食セット「よくばり御膳」の「しそひじきご飯とチキンカツみぞれ煮風」のリニューアルを行った。
ニッスイではご飯とおかずがセットになった「まんぞくプレート」シリーズ初となるテレビCMを春より放映、あわせて消費者キャンペーンも実施している。
コロナ明けで通学・通勤する人も増え、弁当用の冷凍和風総菜も伸長している。トロナジャパンでは「すき家おべんとうの具」シリーズから春の新商品として「炭火やきとり」「豚生姜焼き」を発売した。
おやつにも最適な「冷凍今川焼・たい焼」はデザート系冷凍食品の中でもとくに好調だ。ニチレイフーズが「今川焼」のテレビCMを放映した23年11月に大きく伸長した。同社はこの春、北海道産のクリームチーズと国産はちみつを使用した「今川焼<クリームチーズプレミアム>」を発売。若年層など新たな需要を創造する。
簡便性と保存性の高さ、おいしさを兼ね備えた冷凍食品のニーズは今後も高まっていくことが予想される。新たなサブカテゴリーも生まれアイテム数も増えていることから、消費者にとって選びやすい売場づくりが求められるだろう。