独自の品揃えでファンをつかむ「業務スーパー」。近年、他社が追随を強める中、新たな商品政策(MD)、開発体制のもと、さらに魅力的な商品の開発に取り組んでいる。低価格だけでなく「健康志向」「即食・簡便」が特徴の商品を拡充、好評を得る。具体的にどのような方針で利用客の支持を獲得しようとしているのか、フランチャイザーである神戸物産の戦略をレポートする。
競合企業が業務スーパーをベンチマーク
業務スーパーをフランチャイズ本部として展開する神戸物産(兵庫県/沼田博和社長)が、MDで重視するのは「オンリーワン」「低価格」「高品質」という3つのキーワードだ。それらを具現化する、競合店には並ばないプライベートブランド(PB)を強化する方針だ。
同社PBには海外メーカーから直輸入した商品と、傘下にある国内自社グループ工場で製造する商品の2種類がある。2023年10月期現在、PBの売上高構成比は、前者23.5%、後者11.1%で合計34.6%。26年10月期には37%、長期的には40%にまで引き上げることを目標とする。
食品マーケットに目を向けると、年々、競争が激化している。食品スーパー(SM)間だけでなく、食品の扱いが大きいドラッグストア、またディスカウントストアも存在感を高めており、業態の枠を超えた戦いが厳しさを増す。その中、業務スーパーは売上高の3分の1以上を占めるPBを武器に、順調に事業を拡大してきた。
ただ、好調な業務スーパーをベンチマークし、追随を強める動きも強まっている。業務スーパーと似た商品を発売するほか、価格訴求を強めた店づくりを行うことで競争力強化を図る企業が増えている。
神戸物産で直輸入商品を開発する海外商品部の責任者は、「かつては自社で商品を輸入する流通企業は少なかった。しかし近年は増加傾向にあり驚異を感じる」と話す。
また国内グループ工場で製造する商品の開発を担当する商品開発部の竹下厚二部長は「ポテトサラダはじめ1kg入り、大容量の総菜パックは当社が得意とする商品。だが同様のPBを揃える企業も見られるようになり、商品によっては物珍しさがなくなってきた」と明かす。
競争環境が熾烈になり、神戸物産では商品開発の手法を見直すほか、独自のニーズ分析に基づく取り組みで、さらに魅力的なアイテムの開発を広げようとしている。
その中、優位性をつくり出す源泉は
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