その優れた商品力から多くの同業他社からベンチマークされているのが、長野県を中心に43店舗を展開するローカルチェーンのツルヤ(長野県/掛川健三社長)だ。同社の2023年6月期通期の売上高は1239億円、1店舗当たりの平均年商は単純計算で28億円を超える。全国スーパーマーケット協会が発行している「2024年度版 スーパーマーケット白書」によれば、全国平均の1店舗年商は約14億円であり、ツルヤは実に2倍の販売力を有していることになる。ツルヤがこれほどの販売力を有している理由は、その独自の商品力にある。「前橋南店」(群馬県前橋市)の商品を調査し、その強さの源を明らかにした。
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ツルヤの経営姿勢を体現するPB群
ツルヤは「お客さまの夢に商品で応える」を経営姿勢に掲げ、「お客さまのご満足を第一に、高品質・高鮮度の商品を提供し、お客さま・取引先・従業員、そして会社の限りない夢を、積極的かつ堅実に実現」(ツルヤHPより抜粋)することをめざしている。商品開発を通じて「取引先とともに育つ」という「共育」の精神が同社の経営の根幹となっている。
ツルヤのPBは、そうした同社の経営姿勢が具現化された商品群だ。安心・安全・おいしいをコンセプトに素材の味を大切にし、添加物を極力使わずに開発されている「ツルヤオリジナル」、そのワンランク上をコンセプトに選定された商品をラインアップする「ツルヤプレミアム」と、原料、素材、製造までこだわり抜いて開発された商品はそのクオリティの高さから長年多くの固定客を惹きつけている。
では、実際にツルヤの売場にはどのような商品があるのか、部門ごとに見ていこう。
まず見ていきたいのが青果のオリジナル商品だ。ツルヤの青果売場は、平台を使わず、入口付近から壁面に沿って直線が約50m続く独自のレイアウトを採用しており、旬の提案とオリジナル商品がフェースにメリハリをつけ、買物の楽しさを演出している。
契約産地直送商品をはじめ数々のオリジナル商品が並ぶ中、今回注目したいのが菌茸類だ。野生種に近い茶色の「原種えのき」(1袋99円)や、えのき茸の下部をカットした「森のほたて」(1袋29円)など、一般的な食品スーパー(SM)でまず見かけない商品を揃えており、店頭では料理法を記載したショーカードを設置し、来店客に魅力を伝えていた。
ツルヤオリジナルで展開する
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