コンビニエンスストア(CVS)首位のセブン-イレブン・ジャパン(東京都/永松文彦社長:以下、セブン-イレブン)は、食品の商品政策(MD)において「質の追求」を基本に掲げる。商品を監修する専門店から得た知見を商品開発に生かし商品全体の質を高める一方、低価格ニーズにも対応しあらゆる層の需要を取り込もうとしている。
監修企業の知見を定番商品に生かす
新型コロナウイルスの5類への移行に伴い人流が活発化してきた一方で、エネルギー価格や原材料価格など各種コストが増大し、商品単価が上昇し続けている。
こうした外部環境を踏まえ、セブン-イレブン取締役常務執行役員商品戦略本部長兼商品本部長の青山誠一氏は「これからお客さまの節約志向は、より高まっていく見通しだ。一方で、それに伴って『買物に失敗したくない』という意識も強くなる。お客さまの期待に応えるためには、商品の質を徹底的に高めていくことが最も重要」と語り、「質の追求」をめざす心中を明かす。
コロナ禍でセブン-イレブンは、来店動機を創出するべく「フェア」を開催してきた。22年1月以降、「イタリアンフェア」や「カレーパーティ」など全店で開催する「メインフェア」を連続的に実施。これが奏功し、23年2月期チェーン全店売上高は対前期比4.0%増の5兆1487億円と、コロナ前の19年度の水準を上回った。さらに24年2月期上半期には、全店平均日販が同社で初めて70万円を突破。24年2月期通期では売上高5兆3650億円を目標に掲げる。
そのため24年2月期は「質の追求」の方針のもと、有名店による監修商品の開発を通じて専門性の高い技術やノウハウの習得を図っている。これまでの取り組みで代表的な成功例が、老舗の米専門店「京の米料亭八代目儀兵衛」の監修により、23年3月に発売したおにぎりだ。「炊飯後の米の質とおいしさ」を重視し、八代目儀兵衛の知見やノウハウの教示を受けて共同開発した。同商品は税抜180~190円とおにぎりの中では高価格帯の商品もありながら販売数量を伸ばし、消費者からの支持を集めている。
さらに、この八代目儀兵衛から学んだ知見を、そのほかの定番商品の磨きこみにも生かしている。23年4月にはおにぎりのレギュラーシリーズ「手巻おにぎり」に同専門店のブレンド米を採用した。結果として、おにぎりは23年度で最も売上が伸長しているカテゴリーとなっている。
各地に製造インフラを整備、地域ごとにお客を取り込む
今後、セブン-イレブンが積極的に取り組んでいくのが、
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