精肉カテゴリーでは、円安や資源価格の上昇といった影響を受け、国産・輸入ともに小売価格が高止まりで推移している。節約志向が強いなかでも、2022年後半頃から、購入金額そのものは比較的好調だ。こうしたなかでの精肉の消費動向と、輸出国マーケティング団体の取り組みを紹介する。
畜種にかかわらず、購入金額は増加傾向
独立行政法人農畜産業振興機構では、2022年から23年にかけての精肉に関する「家計調査」(総務省)のデータを畜種別にまとめている【図表】。「家計調査」は、月ごとに1人当たりの購入金額、購入数量をデータにしたものだ。
それによると、22年の牛肉の購入数量は対前年比7.0%減、豚肉は同0.5%減、鶏肉は同0.3%減と、いずれも前年を下回っている。
牛肉の消費構成は、家計消費が減少する一方、外食・中食の仕向け量は拡大する傾向にあり、近年は、外食・中食での消費が全体の消費量の約6割、家計消費が約3割、加工仕向けが1割弱で推移しているという。
牛肉の22年の家計消費の推移を見ると、購入金額は、前半は前年を下回って推移した一方、年末にかけては前年を上回っている。購入数量は、9、10月は前年を上回ったものの、それ以外の月では前年を下回っており、前年を15%以上下回った月もある。
一方豚肉について見ると、22年の購入金額は、1月と5月を除き前年を上回っている。一方、購入数量は、2、3、4、11、12月が前年を上回った。購入金額と購入数量の前年同月比を比較してみると、購入数量以上に購入価格が高くなる傾向にあり、販売価格の上昇が影響しているようだ。
鶏肉についても同様の結果が出ており、22年では、購入金額が前年を上回る月が多かったのと比較して、購入数量が前年を上回った月は少ない。こちらも価格上昇の結果だろう。精肉市場全般としては、消費量の伸び以上に小売価格が高止まりしていることで、購入金額は増える傾向にあるといえそうだ。とくに円安や国際的な資源価格の上昇は、精肉以外でも多くの食品価格上昇につながっている。
値上げトレンドへの警戒感のなかで新たな食べ方提案や品質を訴求
公益財団法人日本食肉消費総合センターが22年10月に実施した「食肉に関する意識調査」では、最近の円安・資源価格の高騰等に伴う物価上昇による食肉消費への影響や変化についても調査を行っている。
その報告書によると、とくに変化はないという回答か6割以上であった一方で、「購入量が減った」「購入回数が減った」「まとめ買いするようになった」「国産の食品を選んで買うようになった」「輸入・外国産の食品をあまり買わないようになった」「より安い商品・製品を選んで買うようになった」「より価格の安い店を選んで買うようになった」などの変化があったとする回答も一定数寄せられている。
こうした状況のなかで、メーカーや輸出国のマーケティング団体は、需要喚起のためのさまざまなプロモーションを展開している。
たとえばアメリカ産牛・豚肉のマーケティング団体である米国食肉輸出連合会では、恒例の消費者キャンペーンを展開するほか、新たな部位の活用を提案することで、リーズナブルな新しい商品の訴求に力を入れている。
またカナダポーク日本事務所では、レシピ提案やセミナーなどによる情報発信を強化。今期はカナダビーフ国際機構と共催のセミナーを実施する予定で、カナダ産ポーク、ビーフの品質と安全性を訴求していく方針だ。