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食品ロス削減プログラム「もぐもぐチャレンジ」が、全国のスーパーで広がる理由

マーケティングサービスを提供するアッシェ(高知県/須江勇介社長)が開発した、食品ロス削減プログラムの「もぐもぐチャレンジ」が話題を呼んでいる。この「もぐもぐチャレンジ」が全国のスーパーマーケット(SM)で続々と導入されている理由について取材した。

導入によって廃棄ロスが10%以上削減した店舗も

 「もぐもぐチャレンジ」とは、オリジナルキャラクターの「もぐにぃ」を使用したSM向けの「食品ロス削減プログラム」だ。このもぐもぐチャレンジがリリースされたのは2019年。恵方巻の大量廃棄が社会問題になったことをきっかけに、「パートナーであるSMやその顧客を巻き込みながら、フードロス問題を解決できないか」とアッシェの須江勇介社長が立ち上げた。

もぐもぐチャレンジのキャラクター「もぐにぃ」

 もぐもぐチャレンジの内容は以下の通りだ。まずSMは賞味期限が迫った商品に、オリジナルキャラクターであるもぐにぃのシールを貼る。客はその商品を購入して、シールを10枚集めれば、景品が当たる抽選か子ども食堂やフードバンクへの寄付を選ぶことができる(店舗によって異なる)。

 SMがもぐもぐチャレンジを導入した際の効果について、穐津健太本部長は「割引率が低い段階で購入が促進されるため、値引きロス、廃棄ロスの削減につながる。導入したSMの中には食品廃棄を10%以上削減した店舗もある」と述べている。

 「2021年ごろから右肩上がりに導入店舗数が増えた」と穐津氏が話すように、サニーマート(高知県/中村彰宏社長)を皮切りに、サミット(東京都/服部哲也社長)やイズミ(広島県/山西泰明社長)などの企業が「もぐもぐチャレンジ」を導入している。約4年で参加店舗は13企業303店舗にまで広がりを見せ、シールの累計回数枚数は900万枚を超えた。

 導入に際しての初期費用は導入店舗数や実施内容に応じて決定する。販促資材としてPOPやぬいぐるみ、アプリ、サイネージ用動画などが提供される。加えて、台紙やシールの印刷費用などの月額費用が別途必要となる。「それを差し引いても、効果があるとご判断いただけているからこそ取り入れられている」(穐津氏)。

地域とのエンゲージメントにも効果

 もぐもぐチャレンジ導入のメリットは廃棄ロスの削減だけではない。食品ロス削減に貢献しているという企業自体のイメージアップにもつながるほか、子ども食堂やフードバンクなどの団体への寄付を通じて地域とのコミュニケーションができるという。穐津氏は、「導入店舗では地域とのエンゲージメントに効果が出ており、それも各SMさんから評価されている一つの理由ではないか」と話す。

 さらに、アッシェでは地域とSMをつなぐ活動として、プログラムを導入したSMの周辺地域で食育授業を実施している。たとえば、高知県四万十町と連携を結び、町内の小学校12校、保育園11園で食品ロスに関する食育授業・イベントを請け負うほか、教材開発も行っている。

保育園での食育イベント風景

 保育園では食品ロスに関する絵本の読み聞かせなど、小学校では食品ロス削減のためにできる取り組みの発表などを実施し、そのなかで「地域のSMでもぐにぃのシールが貼っている商品を購入すれば、食品ロス削減に自然と貢献できること」も伝えている。

 こうした活動を行った地域のSM店舗では来店客数が増え、もぐもぐチャレンジ実施店の廃棄削減率が改善された。「イベント実施によって効果は出ているという風に考えている」(穐津氏)と、今後も地域活動の場を増やしていく考えを述べた。

 

店舗オペレーションのマニュアル化も視野に

 今後の課題は、店舗オペレーションのマニュアル化だという。たとえば、消費期限が近くなった商品にシールを貼る最も効果的なタイミングなどを記載する予定だ。

商品イメージ図

  「もぐもぐチャレンジをブラッシュアップしていき、加盟店が全国に広がっていくことが目標。今年中に加盟店を2倍にしたいと考えている」(穐津氏)。さらにオンラインサイトやSNSを使った販促によって、オリジナルキャラクターのもぐにぃの認知度アップをめざすほか、東京や大阪での人員を強化することで、もぐもぐチャレンジの普及に注力していくとしている。