イオンリテール(千葉県/井出武美社長)は3月8日、イオンの衣料品プライベートブランド(PB)「トップバリュコレクション」について、ブランドコンセプトやロゴを一新し、新ブランド「TVC」として展開すると発表した。「毎日にフィットする服」を掲げ、SPA(製造小売)型のカジュアル衣料ブランドとして販売規模の拡大をめざす考えだ。すでに熾烈な競争が展開されているファストファッション市場で「TVC」はどのような成長戦略を描くのか――。
顧客と「最高の価値」でつながるブランドめざす
イオンリテールは今回、カジュアル衣料部門について、子会社のトップバリュコレクション(千葉県/小田嶋淳子社長)へ移管・統合し、新ブランド「TVC」を立ち上げた。新しいコンセプトとブランドロゴを備え、これまでとは一線を画したスタイリッシュな衣料品を展開する。
新たなブランド名「TVC」には、イオンのPB「トップバリュ」に日常の生活に必要な衣料品関連を「集める」という、TOPVALU COLLECTIONの意味に加えて、「TOP(最高)+VALUE(価値)+COMMUNICATION(交流)」の意味を持たせ、顧客と「最高の価値」でつながるファッションブランドでありたいという想いを込めたという。
イオンリテールの井出武美社長はTVCの展開により、「売場での展開によって施設全体、そして総合(スーパー)としての価値を高めたい」と意気込みを語った。
サステナビリティ、ローカライズを意識しつつ「毎日フィットする服」を追求
TVCはコンセプトとして、「Better fit, everyday」を掲げる。年代やシーンに合わせて「毎日フィットする服」を提供していくことで、実際に着るお客が心地よく、生活を豊かにして彩りを与えることをミッションとする。
会見で発表されたアイテムの1つが、はき心地のよさを追求した「オルスタパンツ」(各サイズ3980円、以下本体価格)。ウエストはゴム仕様で着脱がしやすくなっている一方、”キレイ見え”するシルエットでシーンを選ばず使えるのが特長だ。
また、サステナビリティ(持続可能性)を意識したアイテムも揃える。廃棄されたバナナの茎を素材として再活用した「BANANA CLOTH ®Lab」や、世界中で問題となっている海洋ペットボトルを再生し製品化した「ONE OCEAN®」などのブランドも展開している。
「TVC」ブランドの今後の展望
TVCの今後の商品開発の方向性としては、「情報製造小売」をキーワードに、顧客や従業員からも意見やアイデアを収集していく考え。小田嶋社長は、「市場環境に適応した情報収集能力が求められる。『共感』を得られる商品を開発し、心地よく買物できる環境を整えることがSPAの本質だと考えている」と力を込めた。
TVCブランドの展開店舗数は従来の82店舗(従来の「トップバリュコレクション」の展開店舗数)から289店舗に拡大する。売上高については23年度比で24年度に7倍、28年度には10倍に引き上げるという大きな目標を掲げた。
さらに将来的には海外やイオングループ外の店舗や商業施設なども含めて出店を拡大し、グローバルブランドに育成していきたい考えも示した。
「情報製造小売」といえば、2017年にユニクロを展開するファーストリテイリングが打ち出した事業モデルである。イオンが描く「情報製造小売」と、一強のユニクロが推進する「情報製造小売」が果たして同じものかどうかはわからないが、イオンがこの言葉を知らないはずがない。目指す方向性を定めたということだろう。
実際、小田嶋社長は、「アパレル市場には圧倒的な存在の企業があり、それを追い越すことは難易度が高い。そうしたなかでも『次にいい』『次の一番』といわれるような、『ネクストベスト』をめざしたい」と意気込みを語った。
【トップバリュコレクション概要】
商号:トップバリュコレクション株式会社
所在地:千葉県千葉市美浜区中瀬1-4 イオンタワーANNEX
設立日:2010年3月25日
新生日:2024年3月1日
代表者:代表取締役社長 小田嶋 淳子(おだしま じゅんこ)
資本金:350百万円
事業:衣料SPA事業(衣料品、服飾の製造、加工、卸売、小売及び輸出入、通信販売)
展開店舗:「イオン」「イオンスタイル」289店舗※1
取り扱い領域:カジュアルウエア全般
WEB販売:「イオンスタイルオンライン」https://aeonretail.com/
「トップバリュコレクションオンライン」https://topvalucollection.jp/