今回は2024年4 月から9 月までの金額増減率の高かった商品をピックアップ。好調の要因と消費のトレンドを探る。
円安や値上げの影響から、消費者の節約志向が加速
KSP‐POSの中から金額構成比1%以上の商品を対象(CGC商品および対象期間の前年4月までに出現のない商品は除外)とし、2024年4月から9月までの金額増減率を調査したところ、各カテゴリーのトップ商品は【図表】のような結果となった。
コロナ期間中は外食品質や味の新奇性など、少しこだわったものを選びたいという機運が高まったが、24年に入ると円安や原材料費高騰による値上げの影響から節約志向が加速。
こうした環境下、消費者の多くが安心・信頼感のあるロングセラーブランドを選ぶ傾向にあるようだ。
1997年発売の内堀醸造「臨醐山黒酢」は、玄米由来の甘味とふくよかな香りが特長の食酢。まろやかな酸味とコクと食欲を刺激する豊かな香りで、調味料としてはもちろん、飲用にも向いている。
メーンターゲットは味わいや品質に価値を求める50~60代女性だが、近年は飲用酢として購入する20・30代の若年層が増えているという。
カフェチェーンを主軸に、量販向けのチルドカップ飲料やドリップパックコーヒーも展開するドトールコーヒー。同社の「ドトール 直火焙煎ドリップ」は家庭でも手軽にカフェ品質の香り高く味わい深いコーヒーが楽しめる商品だ。
2023年のリニューアルで現在のブランド名とパッケージに変更された同品は、ドリップパックコーヒーのメーンユーザーである30~60代の女性だけでなく60~70代男性からの支持も集めている。
菓子類もロングセラーブランドのリニューアルが好調
菓子類についてもロングセラーブランドのリニューアル品が好調に推移している。
春日井製菓「キシリクリスタル」は、24年春にパッケージをリニューアル。従来品はブランドの持つ情緒価値を訴求してきたが、新パッケージでは店頭での視認性を高めるため、のど飴であることが一目で伝わるデザインに変更した。
この施策により新規ユーザーが増え、店頭回転率がアップ。とくに、巨峰、青りんご、白桃の3種類の果実を使った〈フルーツアソートのど飴〉が大きく伸長している。
犬用おやつでもロングセラーが好調に推移
1976年発売の亀田製菓「ハッピーターン」は、2004年に発売したひとくちサイズの「ハッピーターンミニ4連」が大きく伸長。
これまで吊下げ商品は子供向け菓子のイメージが強かったが、最近ではおつまみとしての喫食など大人向けの食シーンが拡大しており、酒類売場などでのアウト展開が進んでいることも好調の要因となっているようだ。
コロナ禍以降、自宅で過ごす時間が増えたことでペットを飼育する人も増加。とくに犬は室内飼いする人が増えており犬用おやつのカテゴリーも好調に推移する。
ペティオの「かわいくたべちゃう! ササミ」は愛犬が持って食べやすいようササミをロール形状に仕上げたロングセラー商品。同ブランドはラインアップが豊富に揃っており、愛犬とオーナーのコミュニケーションツールとして、ユーザーから支持されている。
原材料費等の高騰に伴って幅広いカテゴリーで値上げが続いており、消費者の財布の紐は依然として堅い。伸長しているロングセラーブランドに目を向け、再度クローズアップすることが買上点数の向上にもつながっていきそうだ。