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おせち市場、価値が再認識され市場は好調、帰省の増加でますます活性化!

コロナ禍以降、おせちの価値が再認識され、市場は好調が続いている。物価上昇による買い控えのマイナス要因はあるものの、「ハレの日」需要は根強く、今期もおせち関連品を購入する生活者は増えると予測される。小売業においては、店頭への早出しを行うなど、売上アップにつなげたいところだ。

新型コロナ5類移行で正月帰省は増加の見込み

 コロナ禍を経て、「家族の大切さ」をあらためて意識するようになったことで、おせちの価値が再認識され、おせち関連品市場は好調が続いている。

コロナ禍以降、おせちの価値が再認識され、市場は好調が続いている(i-stock/Hana-Photo)

 それを実証するのが、下記に示すおせち関連カテゴリーのKSP-POSデータだ。おせち関連品を購入するとみられる11月から翌年1月の3カ月間を対象にはじき出したものだが、数量PIはコロナ前の2019- 20年と比べると、コロナ禍の3年間では高い水準を維持している。なお直近の22-23 年の金額PIは6262円で大きく伸長しているが、これは平均価格が上がったことによる上昇といえる。

 では、今期はどうなのか。前期(22-23年)はアフターコロナ機運の高まりから消費マインドが回復し、人流が活発になった。だが、国際情勢が不安定で、円安・物価高が続いたため、海外旅行人数は戻らず、代わりに国内の帰省が増えた。結果、値上げによる買い控えの影響はあったものの、おせち関連品市場は活況を呈した。

 今期(23-24年)は新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行して初めての正月となる。前期以上に気兼ねなく家族や親戚が集まって会食ができることから、遠方への帰省も増え、会食人数も増加。「おせちは奮発して揃えたい」と考える生活者は多いと見込まれる。また、コロナ禍で自分らしいおせちを用意してSNSで発信する楽しみを覚えた若い世代も多い。今期も引き続き市場は活性化することが予想される。

おせち商戦のカギは早出しの強化

 おせち関連品市場が好調を維持するなか、メーカー各社は多様化する消費者ニーズに応えた商品を揃えて、おせち商戦に挑む構えだ。

 たとえば、一正蒲鉾では食の安全・安心の観点から「国産」に対するニーズが高まっているため、主原料はもとより副原料まで純国産100%にこだわった「純」シリーズに力を入れる。生産者の顔写真とメッセージを添えたPOPをはじめ、各種販促ツールを用意し、店頭を盛り上げていく。

 また、「お正月にはよいものを」と願う「ハレの日」需要が高まることから、鈴廣蒲鉾本店では人気の「上小板蒲鉾」を中心に、伝統の小田原蒲鉾の強みを全面的に打ち出していく考えだ。

 一方、「『みんなといっしょ』がなによりのごちそうです。」をテーマに、食物アレルギーに配慮した製品づくりに長年取り組んでいる堀川では、「卵・小麦・乳」を使用しないおせちセットを今期も登場させる。

 こうした多種多彩なおせち関連品を通して売上拡大につなげていくには、早出しの強化が欠かせない。というのも、早めに正月準備をする生活者が一定数いるうえ、大雪など天候による年末間際の欠品リスクを回避できるからだ。何より早出しを図ることで“お試し買い”を促し、リピート購入も期待できる。

 コロナ禍をきっかけに、おせちを用意して新年を祝うことが幅広い世代で定着しつつあるだけに、高付加価値商品を中心に早出し展開を実施していきたいところだ。