コロナ前から伸長していたが、コロナ以降伸びがさらに加速している冷凍食品市場。ストックのしやすさや簡便性、品質の高さから利用するユーザーが増えている。とくに在宅勤務の昼食としての需要が拡大している冷凍パスタや冷凍中華麺などが市場を牽引している。
ランチに最適、一食完結型の冷凍麺が好調
冷凍食品はコロナを機に利用しはじめた人が多く、在宅勤務の昼食としても利用が広がり、間口・奥行きともに拡大している。なかでも冷凍麺類が好調に推移。KSPPOSデータによると、冷凍麺類の期間通算(2022年8月~23年7月)の対前年同期比は7%増となった。冷凍麺類カテゴリーをさらに細かくみていくと、冷凍中華麺が同11.6%増、冷凍和風麺が同8.1%増、冷凍洋風麺が同3.6%増となっている。
冷凍中華麺は麺とスープ、具材がセットになった一食完結型で、手軽に専門店品質の味わいが楽しめることから、需要が拡大している。なかでもキンレイの「お水がいらない」シリーズは、日本全国の有名専門店監修の商品をラインアップしており、本格的な味わいからファンを広げている。また、電子レンジで加熱しても冷たいままの冷やし中華が出来上がるニチレイフーズの「冷やし中華」は昨年話題となった。うどんやパスタに比べ、冷凍中華麺は認知が低いことから、さらに伸びしろが大きいといえそうだ。
冷凍パスタも在宅勤務時の昼食として利用が広がっており、伸長が続いている。市場をリードする日清製粉ウェルナでは、多様化するニーズに対応して「マ・マーTHE PASTA」ブランドで3シリーズを展開。コスパの高いレギュラーシリーズに加え、野菜の具材感にこだわった「贅沢野菜」シリーズ、満足感のあるひとつ上の味わいを実現した「Specialite」シリーズを提案している。また、「青の洞窟」ブランドからソースとパスタの7層構造によって、絶妙な味のバランスを実現した冷凍ラザニアを新発売。高級感のある味わいで、夕食需要を獲得する。
デザート系冷凍食品は在宅のおやつ需要を獲得
昨今、好調に推移しているのがデザート系の冷凍食品。冷凍製菓・製パンの期間通算の対前年同期比は5.3%増となった。日清製粉ウェルナの「Smart Tableミニチュロス」は、トースターで簡単に調理しやすいミニサイズで、朝食やおやつに利用されている。この秋は、宇治抹茶を配合した生地とこしあんの相性が抜群の〈北海道産小豆のこしあん入り〉をラインアップした。
テーブルマークでは、おうちにいながら外食品質が味わえる「ここCafé」ブランドとして、フレンチトーストやホットビスケット、シナモンロール、スコーンなどをラインアップしている。家庭で出来立てが楽しめる冷凍パンやデザート系冷凍食品は今後さらに需要が高まることが予想される。
冷凍素材も同1.5%増と堅調に推移。青果の相場が高騰している時に代替として利用されることの多い冷凍野菜だが、下処理の手間がなく、必要な分だけ使えて無駄がないことから日常的に活用する人が増えている。そのほか、冷凍米飯は同0.4%増、冷凍総菜・調理は同1.5%増、冷凍弁当用おかずは同3.3%増といずれも堅調に推移。一方、冷凍スナックは同1.6%減と前年割れとなった。
時間効率を重視するユーザーのタイパ(タイムパフォーマンス)志向を追い風に冷凍食品市場はさらなる拡大が予想されている。