中四国エリアで食品スーパーやショッピングセンターなどを運営するフジ(愛媛県)。同社の総菜部門で人気を集めているのが「週末限定まんぞく弁当」だ。その名のとおり週末限定で販売される弁当だが、売場に並ぶやいなやすぐに多くのお客が集まるほど。フジの新店「フジ四国中央店」(愛媛県四国中央市)を取材した折、早速試食してみた。
週末限定で2種類を展開 この日は「鮭のっけ」or「エビカツタルタルのっけ」
「週末限定まんぞく弁当」の価格は税抜498円。開店直後から売場に並べられていったが、すぐに手に取るお客も多く、みるみるうちに数が少なくなっていくほどの売れ行きを見せていた。
取材日(9月18日午前中)に並んでいたのは「鮭のっけ満足弁当」と「エビカツタルタルのっけ満足弁当」の2種類。発泡スチロール製の箱に入っており中身は伺い知れないが、POPに俯瞰写真が掲載されており、それを見る限りかなりボリューミーな印象だ。取材もそこそこに早速2種類とも購入し試食してみた。
ふっくらとした鮭と大葉が効いた鶏つくねがうれしい「鮭のっけ満足弁当」
まずは「鮭のっけ満足弁当」から。商品名のとおりメーンは銀鮭の塩焼きで、のり弁の上にドンと置かれている。ザ・鮭弁という感じだ。その傍らにはちくわの磯辺揚げときんぴらごぼうにお口直しの桜漬。もうこれだけで弁当として成立しそうな布陣だ。
銀鮭はこの類の弁当ではよくありがちなパサつきはなく、身がふっくらとしていることに驚かされた。焼き加減もいいのか皮もおいしく食べられる。磯部揚げは油っぽさが少なく、またサイズもちょうどよく感じた(1本まるまるだと意外に胸焼けする)。そしてきんぴらごぼうも決して脇役のレベルではない。甘すぎず酸っぱすぎずちょうどいい塩梅。
しかしこれで終わりではないのが「満足弁当」たる所以。おかずとして「コロッケ」「厚焼き玉子」「小松菜のお浸し」、そしてPOPでも色を変えて強調されるほど推されている「軟骨入り鶏つくね(大葉入り)」が詰め込まれている。甘辛いあんかけ状のソースがかかっているが、大葉がいいアクセントになってさっぱりと食べられる。
ここでもう1~2品口に入れたいなと思ったところで半切れのコロッケ厚焼き玉子が残っていて一安心。最後におひたしを口に運べば大満足だ。
ぷりぷりのエビカツとタルタルソースの黄金セット!「エビカツタルタルのっけ満足弁当」
続いてもう一方の「エビカツタルタルのっけ満足弁当」。先ほどの鮭のっけ満足弁当の銀鮭がエビカツに変わっただけかと思いきや大間違い。こちらもいろいろな工夫が凝らされていた。
メーンのエビカツの前に注目したいのが土台となるご飯。「鮭のっけ」は海苔が敷いてあるだけなのに対し、こちらは「海苔+おかか」というフォーメーションだ。ご飯くらい同じ仕様にすれば製造効率も高まるところ、細かいところにも差異をつけているのがおもしろく、こだわりが感じられる。
そして肝心のエビカツ。衣の存在感は控えめで、しっかりとエビのぷりぷり感が伝わってくる。POPで「黄金の組み合わせ」と謳っているとおり適度な酸味のあるタルタルソースも欠かせない。
おかずコーナーに目を移すと、ここで準主役を張っているのが「まいたけ入り豆腐ハンバーグ」だ。メーンが揚げ物であるだけに、ここで豆腐ハンバーグという食べ応えはそこそこありながらもヘルシーな一品はうれしい。あんかけに絡んだまいたけのコリコリとした食感もいいアクセントになっている。
おかずはこのほか、「たまご焼き」と「パスタ」。「鮭のっけ」は厚焼き玉子で、こちらは「たまご焼き」である。パスタはケチャップソースが絡んだもので、食べ終わりにいただくとややヘビーな印象だが、ボリューム的には大満足である。
日々変化のある売場を演出する「日替わり弁当」
実際に「週末限定満足弁当」を2種類食べてみて、人気の理由がよくわかった。ボリュームは満点、しかし一つひとつのご飯やおかずは丁寧に作り込まれていて、細かい工夫も多い。それでいて498円という値段はお値打ちと言っていいだろう。
とくにおかずは子供にも食べさせやすいもので、たとえば「週末に昼食をつくるのが億劫」という家族にとっては、子供と一緒に食べる弁当として最適だと感じた。
フジは平日には「曜日限定!日替わり弁当」(税抜398円)を販売しており、月~金曜日まで5種類の異なるメニューを展開している。週末限定満足弁当はそれを少しアップグレードした位置づけである。つまり1週間を通じて日替わり弁当を展開しているわけだ。
変化に乏しい総菜売場も少なくないなか、こうしたフジの弁当ラインアップの豊かさは、お客に「選ぶ楽しさ」「買う楽しさ」を与える店づくりの根幹となっているのかもしれない。