コロナ禍の外出自粛や在宅勤務が広がったことにより、家庭用レギュラーコーヒー市場は好調に推移している。簡便性の高い簡易抽出型コーヒーのほか、カフェインレス商品も年々需要を伸ばしている。
8月~1月まで金額PIは2ケタ増と好調に推移
KSP-POSデータのレギュラーコーヒーの期間通算(2020年8月~21年7月)の金額PIは、4314円で対前年同期比5.7%増。月別金額PIでは、8月~1月まで2ケタ増と大きく伸長した。コロナ特需の裏年である21年4月以降は前年割れとなったが、堅調な推移といえそうだ。
コロナ禍による外出自粛や在宅勤務が広がったことにより、家庭でレギュラーコーヒーを楽しむ人が増えている。働く人にとって朝は忙しく、それまでインスタントコーヒーなどを飲んでいた人が在宅勤務になり、時間の余裕があるため、レギュラーコーヒーを飲むなどの行動の変化がみられる。さらに自宅で過ごす時間が長くなるなか、リラックスするときなどにもコーヒーは活用されており、1日のなかの飲用杯数は増える傾向にある。
全日本コーヒー協会によると、ひとり1週間あたりのコーヒーの飲用状況は、2018年が10.62杯だったのに対し20年は11.53杯。レギュラーコーヒーが4.41杯で18年より0.72杯増加となった。インスタントコーヒーやリキッドコーヒーも伸びているがレギュラーコーヒーの伸び率が一番大きかった。また、外出時に飲用することの多い缶コーヒーは微減となった。
飲用場所別では、家庭が7.55杯で1.01杯増えた。喫茶店・コーヒーショップ、レストラン・ファストフード、職場・学校などは前年を下回った。コロナ禍でおうち時間が増えたことで、家庭で飲用する機会が増えていることが明らかになった。
豆の種類や産地にこだわり 本格的な味を重視する人が増加
レギュラーコーヒーのなかでも年々、伸長しているのが簡易抽出型コーヒー。家庭内でコーヒーを飲むとき、コーヒー豆の種類や産地にこだわって、本格的な味わいを重視する人が増えている。モカやブルーマウンテンに次いで人気が高いのがキリマンジャロ。この秋は、キーコーヒーの「ドリップオン」、味の素AGFの「ちょっと贅沢な珈琲店」などのブランドから〈キリマンジャロブレンド〉が発売されている。
一方、UCC上島珈琲では、食後の血糖値上昇を穏やかにする機能性表示食品の「UCC珈琲生活プラス ワンドリップコーヒー」を新発売。おいしさと機能性を両立させ、日々の生活に取り入れやすくした。簡易抽出型コーヒーは、簡便性がユーザーに支持されていることから、今後も引き続き伸長が見込まれている。
また、カフェインレス商品も年々需要を伸ばしている。就寝前や妊婦などのカフェインを控えたい人のほか、カフェイン摂取をコントロールしたい人から支持されている。在宅時間の増加で、カフェインの摂取量を気にする人も増えていることから今後も拡大が予想される。
10月1日からコーヒー製品が値上げされる。世界経済が回復傾向で海外の消費が伸びていることや、産地の天候不順でコーヒー豆の国際価格が高騰していることが要因で、店頭価格は2割アップ。今回の値上げが市場にどれくらい影響を与えるのか不透明だが、店頭では価格以外の打ち出しで、需要拡大を図りたいところだ。