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日本酒市場は家庭内での飲用シーンが増え拡大中!ライトユーザーも増加中

一年以上に及ぶ新型コロナウイルスの流行に伴い内食需要が継続的に拡大するなか、家庭での日本酒の飲用シーンも広がった。大容量品による奥行きの広がりに加え、糖質オフなどの健康訴求系や純米大吟醸など、付加価値型の商品を選択するユーザーが増えている。

家飲み需要の拡大でライトユーザーも増加

 KSP-POSデータによると、2020年7月から21年6月の日本酒カテゴリーの期間通算金額PIは、対前年同期比1.6%増の10170.51円、数量PIは同2.7%増の17となった【図表】。

長年、中高年のヘビーユーザーがけん引してきた日本酒市場だが、家飲み需要が拡大したことで、仕事帰りに居酒屋に寄っていた、比較的若い世代も家庭用の日本酒に挑戦し始めている。 i-stock/kuppa_rock

 月別の動向を見ると、20年9月は消費税増税前の駆け込み需要があった前年の反動で2ケタ減となったものの直後の10月は、酒税法改正もプラスに働き対前年同月比19%増の大幅増。その後も21年3月まで前年超えが続いた。しかし4月以降は、昨年が緊急事態宣言中だったこともあり、その反動減で前年を下回っている。

 月別の売上の傾向を見ると、気温が下がり、鍋料理を食べる機会が増える11月から数字が上がり、歳暮や年始の挨拶など、ギフト需要が高まる12月、1月にピークを迎える。

 昨年の春以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、居酒屋をはじめとした外食業が営業自粛を余儀なくされたことで、外飲みの機会が大幅に減少。そのことから巣ごもり消費が拡大し、家でも居酒屋気分でいろいろな酒類を楽しむ人が増えている。

 日本酒カテゴリーは長年、中高年のヘビーユーザーがけん引してきた市場だが、家飲み需要が拡大したことで、仕事帰りに居酒屋に寄っていた30~50代など、比較的若い世代も家庭用の日本酒に挑戦し始めている。

 日本酒メーカー各社はライトユーザー向けとしてフルーティーな微発泡タイプやカクテルタイプ、飲みきりサイズのボトル缶など、エントリーしやすい商品を次々と開発。さらに純米大吟醸や山田錦使用など、日常のハレの日を楽しむ付加価値型の商品もよく動くようになってきている。

 また既存の日本酒ユーザーについても、コロナ禍以降は買物の回数を減らす、車での来店が増えるといった購買行動の変化から、大容量品の動きも活発化している。

トライアルを促進するシーン提案を実施

 日本酒は長年、中高年の男性が支えてきたカテゴリーであり、日本酒メーカー各社の基幹ブランドは、それぞれ多くのロイヤルユーザーがついている。

 コロナ禍においては、値ごろ感のあるパック酒カテゴリーの中でもワンランク上の商品を選ぶ傾向がより強まっており、さらに健康意識の高まりから糖質オフやプリン体ゼロといった健康志向の日本酒を選ぶユーザーも増えてきている。

 ワクチンの接種が進む一方、新たな変異株なども発生しており、新型コロナウイルス感染拡大防止のための自粛は当面続くとみられる。家で過ごす時間が長くなっていることからリラックスタイムに気軽に楽しめる日本酒のシーン提案をすることも有効だろう。

 トライアルの獲得に向け手に取りやすい飲みきりサイズの品揃えを強化する一方、日本酒の選び方や和食にとらわれない料理とのマリアージュなど、家庭での日本酒の楽しみ方を訴求することで、日本酒のファンづくりにつなげていきたい。