依然として見通しの不透明なコロナ禍が続くなか、早くもコロナ2年目の秋冬がやってきた。年間を通して最も重要なシーズンであるクリスマス・年末商戦をどう勝ち抜くかが、今年の業績を大きく左右することは言うまでもない。昨年の動向を振り返りつつ、今年の秋冬の総菜戦略の方向性を解説していく。
「季節商材」としての総菜づくりを志向しよう
まずは昨年10月~12月の振り返りと今年の与件変化から確認しておこう(図表❶参照)。
昨年10~12月は、新型コロナウイルス感染者数の増減に左右された時期であった。感染拡大がある程度落ち着き、政府主導の「Go Toキャンペーン」が本格スタートしたのも束の間、感染者急増で一瞬にして“自粛モード”に舞い戻り、保健所や病院は感染者の対応でひっ迫した。天候に関しては、台風の上陸がゼロ、11月末まで続いた高温、一転して12月には寒さが厳しく大雪による道路での立ち往生も各地で発生するなど、異常気象に見舞われた。
そんななか、小売業界で特筆すべき動きと言えるのが「年始休業」だ。21年元旦は大手から中小規模まで、多くの食品スーパー(SM)が休業を決定し、翌2日も休業とするSMも増加。そのため、年末の消費行動が変化した。また、外出自粛ムードの中で、クリスマスのチラシには「おうち○○」という言葉が出揃ったほか、おせち予約も例年より早くから動き、品切れも多発した。翻って、今年はどうなるのだろうか。
政府は10~11月中に希望者全員にコロナワクチンの接種を完了させるとしている。その通りに行けば秋には集団免疫効果が表れそうだが、接種率はある一定ラインで伸び悩むと予想されること、直近で猛威を振るう「デルタ株」の感染力を考えると予断を許さない状況だ。
ただ海外を見ると、制限が緩和された直後から「リベンジショッピング」と呼ばれるリアル店舗での購買が反動的に伸びる傾向にある。仮に日本でも状況が改善されたときの、総菜部門における販売機会の増加は想定すべきだろう。
天候については、本稿執筆時点(8月上旬)の長期予報によると「10月は関東以西中心に気温高め」との予想がでており、今年も残暑が続くと予想したほうが無難だ。もはや慢性化した残暑によって生鮮食品の旬は大きくずれており、売場で夏から秋~冬への季節の変化を感じづらくなった。しかし自粛続きの毎日で、消費者は売場に新しさや変化を求めていることを忘れてはならない。ちなみに7月末に筆者が訪れたあるSMでは、早くも「松茸ご飯」や「栗ご飯」の素が売られていた。足しげく通うSMだからこそ、お客にハッと気づきを与えるような品揃えの変化は重要だ。
同様に、総菜売場も季節感を与えられるような場所づくりをめざしたい。たとえば、根菜やきのこ類、秋が旬の魚などを使った
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