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コロナ禍で伸びるアイスクリーム市場、喫食シーンの多様化に加え「癒しのデザート」として需要増

コロナ禍の巣ごもり消費で好調に推移しているアイスクリーム市場。在宅時間の増加で喫食シーンが広がったことに加え、長引く外出自粛で「癒やし」としてのニーズも高まっている。今後も引き続き、好調が予想されている。

在宅時間の増加により、ファミリーアイスが好調

 KSP-POSデータによると、アイスクリームの期間通算の金額PIは、2万2930円で対前年同期比6.5%増。月別の金額PIをみると、需要期の7月は長梅雨による日照不足で前年並みとなったが、8月は一転して猛暑となり、氷菓を中心に売上が加速し、同18.1%増と好調に推移した。氷菓ではロングセラーのフタバ食品の「サクレレモン」が好調。サクサクした氷にスライスレモンがアクセントになった味わいが支持されており、そのまま食べるだけでなく、炭酸飲料やお酒と組み合わせたドリンク提案も行っている。

外出自粛や在宅勤務の増加で、アイスクリームの喫食シーンが広がっている。i-stock/Kana Design Image

 8月以降も堅調に推移しているが、10月は台風などの天候の影響で、同1.7%増にとどまった。また、2回目の緊急事態宣言の発出により、1~2月は2ケタ増となった。5月に前年割れとなったのは、前年の反動によるものだ。

 外出自粛や在宅勤務の増加で、アイスクリームの喫食シーンが広がっており、とくに2020年度上期に好調だったのがファミリーアイス。期間通算の金額PIは9875円で同4.6%増。外出自粛と買物回数の減少によりストック用として購入されている。ファミリーアイスは、通常のパーソナルアイスでは量が多いという女性やシニアにも支持され、夕食後やお風呂上がりなどの「ちょっと食べたい」ニーズに対応している。下期は前年並みの推移で、20年3月~4月に大きく伸長したことで、21年は前年割れとなった。

 ファミリーアイスでは、ロッテの「レディーボーデン」が好調に推移。アレンジのしやすいパイント形態で、コロナ禍でのイエナカ・手づくり需要によって伸長した。また、井村屋の「BOXあずきバー」シリーズも好調で、イエナカ需要を取り込んでいる。

日常のなかの贅沢が味わえるプレミアムアイスのニーズが高まる

 アイスクリームは癒やしのデザートとしてのニーズも高く、なかでも「ちょっといいもの」を求める層が増えたことで、原料や製法、食感などにこだわったプレミアムアイスが好調だ。期間通算の金額PIは、2968円で対前年同期比15.9%増。すべての月で前年を上回った。とくに今年に入ってからは2ケタ増が続いている。

 よつ葉乳業では昨年、「よつ葉 至福のミルク」を発売し、今年7月には第2弾として、「同 キャラメル」を新発売。キャラメルアイスのなかに濃厚な塩バターキャラメルソースが入り、ヘーゼルナッツチョコでコーティングした3層仕立てのアイスバー。北海道産乳原料にこだわったちょっと贅沢な味わいとなっている。

 また、森永乳業の「PARM」ブランドからは、夏らしい果実のジューシーな味わいが楽しめる「PARMジェラート ミックスベリー」を夏限定で発売。ハーゲンダッツジャパンからは、“ 夏に食べたいハーゲンダッツ”をコンセプトとしたジェラートシリーズの新商品2品を期間限定で投入した。

 長引く外出自粛で、癒やしを求める人がますます増えることが予想されるため、売れ筋の定番商品やロングセラーブランドだけでなく、素材や食感にこだわったプレミアムアイスクリームの品揃えを強化して売上拡大につなげていきたいところだ。