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日本酒市場、家飲み需要の拡大で微増傾向 軽い飲み口やにごり酒で若年層取り込む

日本酒のイメージ
i-stock/kuppa_rock

近年、ダウントレンドが続いていた日本酒カテゴリーだが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて外食を控える生活者が増加したことで日本酒の家飲み需要が拡大。ライトテイストのパック商品やにごり酒など、若年層でも手に取りやすい商品群も増えている。

巣ごもり消費の拡大で日本酒も好調に推移

 KSP-POSデータによると、2020年4月から21年3月の日本酒カテゴリーの期間通算金額PIは、前年同期比3.5%増の1万281.5円、数量PIは同4.4%増の17.16となった。月別の前年比動向をみると、新型コロナウイルス感染拡大の影響による緊急事態宣言中、4月はわずかに前年を下回ったものの、5月は7.4%増と好調に推移。9月は前年の消費税増税前の駆け込み需要による反動減で数字を大きく落としたものの、10月は19.4%増と大幅に回復し、その後も微増傾向が続いている。

 日本酒のカテゴリーは気温が下がり店頭に鍋物商材が増える10月ごろから数字が上がり、歳暮や年賀といったギフト需要および人の集まる12月、1月が山場となる。昨年の2月以降はコロナ禍の影響を受け、居酒屋をはじめとした外食業が軒並み営業自粛となったことで、業務用の日本酒が大幅に落ち込んだ。一方、内食需要の拡大により、自宅でも居酒屋気分で日本酒を楽しむ人が増え、市販用の日本酒マーケットに影響を与えている。

 また昨年は10月の酒税法改正により、日本酒の税制が変更になったことも大きい。値上げ対象となったカテゴリーからの流入に加え、大容量商品の動きが活発になるなど、奥行きにも広がりがみられるようだ。

飲みたくなるシーン訴求で日本酒のある生活を提案

 日本酒は長年、中高年の男性をターゲットの中心に据えてマーケティングを行ってきたカテゴリーだが、今後マーケットを拡大していくためには、若い世代や女性といった、新規ユーザーを獲得できるような商品の開発や販促施策が求められる。

 大関では同社の基幹ブランドである「ワンカップ」シリーズから人気アニメや故志村けんさんとのコラボレーションなど、限定品を次々と仕掛けており、SNSでも大きな話題となっている。さらに若い女性をターゲットとした「純米にごり酒 夢見るひつじ」が好評を得ており、今期は夏の限定品として「夢見るひつじ ひんやりにごり酒」を発売する。

 コロナ禍を受けて生活者のライフスタイルが大きく変化するなかで、外飲みユーザーが家飲みへと移行する動きはさらに加速している。緊急事態宣言による外出自粛やリモートワークの推進等により、家で過ごす時間が増えたことで、「家でもいろいろなお酒を楽しみたい」というニーズが生まれ、自宅で日本酒を楽しむ機会も増えている。

 新型コロナウイルスの流行から1年以上が経つが、いまだに勢いは衰えておらず、感染防止のため、外飲みの機会の減少は当面続くとみられる。季節感のある演出や総菜とのコラボレーションなど、家飲みの手軽な楽しみ方を訴求することで、日本酒のマーケットを広げるチャンスも十分にあるはずだ。

 トライアルの獲得に向けて、日本酒の選び方やシーン提案、おすすめ料理など、飲みたくなるシーン訴求により日本酒のある生活を提案することで、日本酒売場を盛り上げていきたい。

日本酒2021年春夏新商品

大関

ひんやり“夏のにごり酒”でおうち時間に癒しを
糖類・プリン体・人工甘味料ゼロで健康志向の新たなファン獲得へ

さらりと軽やかな口当たりで夏にぴったりな「夢見るひつじひんやりにごり酒」が期間限定発売。健康志向の高まりから、明日に酔いを残さないアルコール度数1 2%の「MYST」、糖類・プリン体・人工甘味料ゼロの「わが家のレモンサワーの素ZERO」をハコ詰で展開する。

月桂冠

「カクテルで楽しむお酒」春夏限定販売サイダー、ブラックコーヒーで割って飲む日本酒の新スタイルを提案

家飲み需要継続を見込み、日本酒を割って味わう「カクテルで楽しむお酒」新登場。好みの度数に調整できるようアルコール度数20%の原酒とし、クセのない辛口テイストで仕上げる。「ドライレモンロック」は日本酒にレモン果汁を加えた和風リキュール。アルコール分は8%。オンザロックでの飲用がおすすめ。

日本盛

「晩酌シリーズ」「糖質ゼロ プリン体ゼロシリーズ」を環境に配慮した紙容器にリニューアル
期間限定で花火ラベルの「純米大吟醸生原酒」を発売

日本盛はSDG(s 持続可能な開発目標)に賛同し「、晩酌シリーズ」「糖質ゼロ プリン体ゼロシリーズ」の6商品を、業界初となる森林認証紙とバイオマスフィルムの紙容器に一新。また、夏の風物詩の花火ラベルで彩る「純米大吟醸生原酒」を期間限定で発売。

菊正宗

嘉宝蔵シリーズをリニューアル「すだち冷酒」の果汁アップ・ラベルも一新
ヴィッセル神戸とのコラボラベルも

創業362年の菊正宗は主力商品の「嘉宝蔵雅(特別純米酒)」「嘉宝蔵極上(特別本醸造酒)」をリニューアル。好調の「すだち冷酒」の果汁を1.5倍(※当社比)に増量し、清涼感を表現する和テイストのラベルに一新。ヴィッセル神戸とのコラボラベルは5,000本限定で発売する(販売先:公式通販・酒造記念館・兵庫県内の小売店)。

白鹿(辰馬本家酒造)

国内外で4冠受賞!好調続くプレミアムな純米吟醸にハンディな500ml、大容量の1.8L続々新登場

2019年3月の発売以来、国内外で高い評価を得る「黒松白鹿かおり純米吟醸プレミアム」は、おいしさと手軽さの両方がかなう純米吟醸生貯蔵酒。魚料理や鶏肉のトマトソース煮など、旨みと酸味のある料理と相性がよく、いつもの食卓に華を添えてくれる。

白鶴

暑い夏こそ「まるハイボール」で乾杯!うまさとキレの良い辛口の味わいを実現した「糖質ゼロ」

8月までの期間限定でスパークリング日本酒「白鶴 まる ハイボール」を新発売、日本酒のおいしさはそのままにうまさとキレの良い辛口の味わいを実現した「白鶴 サケパック 糖質ゼロ」をリニューアル。「上撰 白鶴 生貯蔵酒」は新酵母と醸造方法を見直すことでさわやかでフルーティな味わいに酒質変更した。

小西酒造

「家飲み」にも「アウトドア飲み」にもペットボトルで楽しむ日本酒新登場!大吟醸酒と純米酒のラインナップで

小西酒造は「氷温熟成のまろやかな味わいをカジュアルに楽しんでほしい」との願いを込めて、飲みきりサイズ(300ml)のお猪口付きペットボトルを考案。大吟醸と純米酒の2種で本格的な日本酒が楽しめる。軽くて持ち運びがラクなのでレジャーのおともに最適だ。

沢の鶴

ロックで味わう純米原酒新発売!すだちやコーヒーでアレンジ自由なカクテルベースとしても

アルコール度数18.5度の純米原酒をフルーティでコクのある生貯蔵酒に仕上げた「氷(ロック)で楽しむ純米原酒」。搾った後に一切加水しない生原酒を低温貯蔵し詰口前に一度だけ火入れした、やや辛口でふくよかな味わい。ネックPOPの裏面に簡単アレンジレシピを掲載。

松竹梅(宝酒造)

人気の「天」シリーズに生貯蔵酒1.8Lが通年登場!しぼりたてのような新鮮でフルーティな味わい

松竹梅「天」は2003年の発売以来、独自の二段酵母仕込みによりコクとキレを同時に実現させることで長く愛されてきた。このたび、仲間入りするのは、しぼりたてのような旨みと芳醇な香り、すっきりしながらまろやかな味わいが特徴の松竹梅「天」〈生貯蔵酒〉。冷やしておいしい夏の新定番になりそうだ。