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減塩商品の市場が拡大中、コロナ禍の減塩食卓トレンドと売場提案のヒント

調味料のイメージ
i-stock/kazoka30

塩分の過剰摂取がさまざまな健康リスクを高めることがわかっているなかで、食品業界において減塩商品の市場が拡大している。食MAPデータによると、2021年度における減塩商品※の1日1000世帯あたりの食卓出現回数は、2016年度比108%と伸長している。そこで、今回は「食塩摂取」にスポットをあて食卓傾向を探っていく※商品名に「減塩」が含まれる商品

各属性で食塩摂取量は過多

 食MAPバーチャル栄養素により、2020年4月~21年3月における家族属性別の食塩相当量gを推計すると、各家族属性で食塩の摂取が過多であることがわかる。性別で見ると、男性の食塩相当量gは食事摂取基準比210%となり、女性の166%と比べても大きい結果となった。とくに、男性60代は食塩相当量gが多いと同時に家庭内でのアルコール飲用回数が多いことも食MAPデータからわかっており、「おつまみの減塩化」などがポイントとなりそうだ。【図表①】

分析期間:2020/4/1~2021/3/31
※食MAPバーチャル栄養素:食MAPの各メニュー分類に対して各種栄養素の値を付与したデータベース
※外食相当分は、家庭内食データを元にウェイトバックし栄養摂取量を算出 ※0~2歳のメンバは対象外

減塩メンバが活用している調味料とは?

 食塩摂取が過多傾向のなかで、食塩摂取量が少ないメンバの食卓には何が登場しているのだろうか。食MAPバーチャル栄養素による食塩相当量gが食事摂取基準値(2020年版)に満たない個人メンバを「減塩メンバ」と定義づけたうえで、材料とメニューの食卓出現傾向を見ていきたい。【図表②】は、材料(調味料)とメニュー(おかず類)のTI値を減塩メンバとメンバ全体で比較したものだ。減塩メンバは、材料の出現総数自体が飲食者全体と比べ少ないなかで、おろししょうが・にんにく、スパイス・ハーブ類、トマトケチャップ・トマトソース類、中華調味料などの出現頻度が高いことがわかる。

分析期間:2020/4/1~2021/3/31 食卓機会:1日計 減塩メンバ:n=69
※0~2歳のメンバは対象外 ※全体差分ソート

 一方で、砂糖、食塩、醤油、味噌などのいわゆる「さしすせそ」の基礎調味料は出現頻度が低いことも食MAPデータからわかっている。減塩メンバは、単純に基礎調味料の使用頻度が低いだけではなく、スパイス類やしょうが・にんにくといった香味野菜を使うことで味にメリハリをつけたり、トマト系調味料など活用することで上手に旨味を整えていることが推測できる。また、メニュー傾向を見ると、材料傾向と同様にメニュー出現総数が飲食者全体に比べ少ないなかで、オムレツや刺身、ステーキ・ソテーなど調理工程が少なく素材の味を楽しむメニューの出現頻度が高いことがわかる。一方で野菜の煮物、漬物類などの出現が低いこともわかっている。

 前述の傾向から、減塩提案におけるアプローチには「減塩商品の展開」とあわせて、スパイス類や香味野菜など風味豊かな調味料を活用した「レシピ提案」が効果的と言えそうだ。

減塩商品の売場事例

健康を軸とした価値訴求を行うえで、減塩商品はますます商品開発が進み、定着している。調味料カテゴリーでは「減塩」「食塩不使用」といった特徴を、スポッターや棚帯などでわかりやすく表示する陳列が広がっている。

東武ストア新河岸店(埼玉県川越市/2021年3月オープン)の味噌コーナーでも、減塩商品は棚帯で明確に訴求。プライスカードにも「塩ひかえめ」などの表示を記載している

イトーヨーカドー新田店(埼玉県草加市/2020年10月オープン)では「体に気遣ったドレッシング」をコーナー化。ノンオイル商品などと併せて、減塩商品を集約して陳列し、表示を記載している

オーケー所沢店(埼玉県所沢市/2020年12月オープン)の味噌コーナーでは、「減塩」のほか、オーガニック素材使用、化学調味料無添加などの特徴を、商品ごとにスポッターで表示

ヤオコー所沢北原店(埼玉県所沢市/2020年11月オープン)のドレッシングコーナーでも健康軸の商品を集約。減塩商品のほか、アマニ油使用商品などを展開する

サミットストア西荻窪駅南店(東京都杉並区/2021年3月オープン)の醤油コーナーでは、プライスカードに隣接して「減塩」や「健康応援」などを掲示。商品選びをサポートする

原信寺沢店(新潟県五泉市/2020年11月オープン)のトマトジュースコーナー。低塩タイプの機能性表示食品を集約し、「血圧が気になる方へ」などの棚帯を掲げる

平和堂石山(滋賀県大津市/2020年11月オープン)は、味噌などの調味料について、減塩商品に「減塩生活」のスポッターを掲示。定番売場の中で目立たせている

ビオラル丸井吉祥寺店(東京都武蔵野市/2020年12月オープン)では、冷凍魚介総菜に、減塩タイプの調味料を使用した商品を導入。健康訴求を行う

食MAP®とは、株式会社ライフスケープマーケティングが提供するマーケティング情報システム。1998年10月から首都圏30km圏内在住の主婦世帯を対象に、食品の購買、調理、消費までをパネル形式で調査したもの。