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脱ディスカウント、売れて儲かる酒売場の作り方!成長のカギを握る3カテゴリーの攻略法を指南

強いスーパー大

新型コロナウイルス(コロナ)禍で家飲み需要も増加するなか、食品スーパー(SM)の酒類部門は、市場トレンドを押さえたうえでのより個性的・専門的な売場づくりが求められている。消費者の嗜好が多様化するなか、旧来の酒類売場のセオリーはもはや通用しない。アフターコロナの世界でも支持される売場づくりの方向性について解説していく。

プロの提言!
▶市場成長著しいクラフトビール強化は必須
▶「品揃え」「季節感」の訴求で日本酒は伸びる!
▶ワインは「ナチュラルワイン」の理解と提案力が求められる

今後の売場づくりに不可欠な4つのキーワード

 まず、酒類売場には大きく2つのスタイルがある。①ディスカウント主体の売場(ナショナルブランドの価格訴求・プライベートブランドの開発=低収益型)、②個性主体の売場(地域の食文化を酒の側面から支える存在=高粗利型)だ。本稿では後者を志向する売場づくりを前提として解説していく。

 消費者のライフスタイルは日々多様化しており、さらにコロナ禍で生活様式が一変しているなか、酒類販売において当たり前だった常識は、今後音を立てて崩れていくだろう。新たな時代に向けて酒類売場を構築していくなかで、重要なキーワードとなるのが次の4つである。

①つくり手とのつながり
 つくり手の顔写真をつけた商品やPOPが増えたが、「顔が出ている=おいしくて安心」という証拠とはならない。売り手がつくり手の懐に飛び込んで確かな情報(エビデンス)を得、飲み手に伝えるべきだ。製造場所を取り巻く地域環境や、試飲した際の“体験”を訴えることがカギになる。

②ナチュラル志向
 SDGs(持続可能な開発目標)の取り組み拡大もあり、地球環境への配慮や、自然の持つ本質的なおいしさを追求することが世界的な潮流になっている。たとえば日本酒やワインでも、使用する農薬は少ないほど、米やブドウ本来のおいしさを豊かに感じられる。地球にやさしい「ナチュラルな酒づくり」は重要なテーマの1つだ。

酒類売場は今後、「提案力」がより求められていく

③売場の“個性化”
 人々の嗜好が多様化するなか、酒類売場では「専門性」「バラエティの豊富さ」を打ち出すことの重要度がさらに高まっている。他店にはない個性的な商品を扱うことは、集客に大きくつながる。

④提案力の向上
 酒類売場は、さまざまな“酒シーン”に対する提案力も問われる。たとえば、中華料理にお決まりの紹興酒ではなく、「ワイン」「サワー」「ビール」などもプラスで提案する。また、「旬の提案」で季節性をはっきりと打ち出すことも、お客からの支持につながる。

 SMの酒類売場は今後、酒類業界のマスマーケティングとは一線を画した存在になれるかが問われる。コロナ禍で内食需要は確かに増えており、コロナ後もある程度定着するだろう。しかし、単純な「家食」だけでなく、「家ゴチ(ゴチソウ)」需要を取り込む提案もSMに求められている。その意味で、酒類売場はふだんの食卓を「家ゴチ」に進化させられるような、魅力的な酒類をいかに提案できるかが重要だ。

 そのうえでキーを握るカテゴリーは、①クラフトビール、②個性派日本酒、③ナチュラルワインである。以下、これらを順に解説したうえで、筆者が付き合いのあるSM各社の酒類担当者からのコメントを最後に紹介していく。

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