新型コロナウイルス(コロナ)禍の内食需要の高まりから、生鮮素材の販売が好調な一方、低空飛行が続いている総菜部門。外食産業がデリバリーやテイクアウトなどで中食市場を開拓していることもあり、競争環境も厳しさを増している。食品スーパー(SM)の総菜部門は今一度、「本当に求められている総菜とは何か」を明確にするフェーズに入っている。
プロの提言!
▶店内調理とPC活用を組み合わせて品揃え拡充を図る
▶「定番商品」の磨き込みと、「季節感」の訴求に注力する
▶オリジナルの販促イベントを増やし、売場にも商品にも変化をつける
家庭内でもニーズは多様!それに応える総菜づくりを
『調理用語辞典』(全国調理師養成施設協会発行)によると、「そうざい(総菜・惣菜)」とは、「毎日の食事の副食物。栄養のバランスのとれたもので、各家庭の家計の範囲内で、しかも家族の嗜好を満たしたものでなければならない」と、わかりやすく解説されている。和字としての「惣菜」は店内で手を加えた商品とし、当用漢字としての「総菜」は惣菜を含めた調理済簡便性食品のすべてを含む商品として、筆者が代表を務める成田惣菜研究所では使い分けている。
SMの売場では「管理栄養士監修」を謳った総菜商品を目にすることも少なくないが、そもそも総菜は本来、栄養バランスのとれたものでなければならない。それを前提に、品揃えを考え、商品を提案しなければならないのだ。
また、各家庭、あるいは家庭内でも家族によって嗜好やニーズは多様だ。「デパ地下総菜」のような質を追求する人もいれば、ボリュームと安さを求める人もいる。乳児であれば離乳食が必要だし、アレルギーや基礎疾患を持っている人は摂取できる食材に制限がある。家族全員の嗜好をカバーすることは難しく、総菜はそれを補う存在としても期待されているのだ。
PC拡大とコロナ禍が総菜に与える“変化”
他方、総菜市場が成長するなかで大きく変化しているのが、製造体制だ。以前は店内製造の総菜が大半を占めていたが、消費拡大とともに大手コンビニエンスストア(CVS)を始め、一部SM企業でも、プロセスセンター(PC)の設置が進んでいった。総菜の消費増に反比例して、つくり手を増やすことは容易ではなく、大量の商品を効率的に製造できるPCの役割は日々高まっている。
もちろん、「出来たて」「つくりたて」の総菜の価値は不変だ。しかし、店内調理とPCを組み合わせることで、幅広い品揃えと選ぶ楽しさを顧客に提供することができる。近年は見応えのある総菜売場をよく目にするようになったが、PC活用の拡大がそれに寄与している部分は大きいだろう。
また、昨年から続く
・・・この記事は有料会員向けです。続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。