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一般社団法人 日本惣菜協会、惣菜管理士の育成により中食業界のレベルアップに貢献する=企業ストラテジー

MDエディション

国民の食生活で欠かすことのできない惣菜。日本惣菜協会では、「惣菜管理士」「デリカアドバイザー」「ホームミールマイスター」の3つの資格試験・認定を実施。特に惣菜管理士は惣菜を含む食品の開発・製造や加工・流通まで幅広い知識を習得できるとして、各方面から注目されている。

コロナ禍における中食業界の変化とは?

日本惣菜協会 専務理事 清水誠三氏

 1977年創立の日本惣菜協会は、惣菜メーカーや卸、食品スーパー等で構成される業界団体である。現在の会員数は610社。同協会では「惣菜白書」の発行をはじめ、惣菜に関する資格試験の実施やHACCP認証、研修・セミナー運営といった活動を展開している。

 「惣菜白書」は食品スーパー、GMS、コンビニ、デパート、惣菜専門店の5業態約67000店舗の惣菜部門の数字や5210人を対象とした消費者調査を網羅するデータ集であり、2004年から発行されている。「惣菜白書2020」によると、19年の惣菜市場規模は、前年比10兆3,200億円(前年比0.7%増)となり、09年から10年連続伸長となった。

 同協会の清水誠三専務理事によると、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、惣菜を取り巻く環境は大きく変化したという。

 第1は生活者の外出自粛に伴い、外食店舗がテイクアウトやデリバリーに力を入れていること。コロナ禍の終息は見えておらず、このモデルは一気に加速するとみられる。

 次に生鮮食品の即食化だ。近年、鮮魚部門の焼魚や寿司、精肉部門のサイコロステーキ、青果部門のサラダといったように、食品スーパー各社は生鮮部門での惣菜展開を強化している。「惣菜白書」では惣菜部門のみの数字を集計しているため、生鮮部門の惣菜の数字は含まれていない。

 第3に調理済み冷凍食品の進化が挙げられる。近年、冷凍食品は品質が大幅に向上しており、ミールキットのような商品も出てきている。価格も手ごろで保存しやすいことから、コロナ禍で大きく伸長したカテゴリーとなっている。その結果、中食という観点からの市場は拡大している。

食品取り扱いスペシャリスト惣菜管理士の取得めざす

 日本惣菜協会では、「惣菜管理士」「デリカアドバイザー」「ホームミールマイスター」の3つの資格試験・認定を実施している。中でも「惣菜管理士」は、惣菜を含む食品の開発をはじめ、製造・加工、流通、企画・販売など幅広い知識を習得できるとして、各方面から注目されている。

 同資格は1993年から年1回、食品に関する通信研修および資格試験を実施してきた。19年現在、惣菜管理士は27397人。受講者は年々増加しており、年間約3000名が受講し、試験を受けている【図表1】。資格は三級から一級まで3段階あり、三級合格者が二級、二級合格者が一級というように、より上級の試験を受験できる仕組みになっている。資格取得者は食品メーカーが53.8%と半数以上を占め、続いて惣菜製造卸・小売り・給食20%、卸業11%、小売業7.2%と続く【図表2】。

 惣菜管理士養成研修では三級から一級まで3年間かけて履修し、各級で6教科、計18教科を学ぶ。2019年より3年間かけ、毎年1級分のカリキュラム改訂を行っており、最新の法令、情報を学ぶことができる。また、合格後もフォローアップセミナー、メルマガ等を通じて、法改正や惣菜に関する最新情報が発信され、アフターフォローも万全だ。

 食品スーパーの惣菜部門および生鮮部門の惣菜・製造に関し、日本惣菜協会の清水専務理事は「食品スーパーは長年、惣菜に力を入れてきたが、生鮮部門が惣菜を扱うとなると、粗利が大きく異なる点や、調理場のダブルスタンダード、特に衛生管理の違いなどの課題を抱えている」と指摘。今後、安全・安心で質の高い惣菜を提供して行くためにも、また食品の取り扱いと惣菜製造における衛生管理教育のためにも、「惣菜管理士」の資格取得をぜひめざしてほしい、と話している。