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植物性ミルク市場、物価上昇の影響を受け停滞気味、レシピ提案など飲用機会の創出がカギに

プラントベースフードへの関心は年々高まっているが、なかでも植物性ミルクは毎日の生活に取り入れやすく手に取る人も多い。すでに普及している豆乳に加えアーモンドミルクやオーツミルクなどほかの原材料の植物性ミルクも店頭に並ぶようになり、選択肢が広がっている。

好調のアーモンドミルクも物価上昇の影響で成長鈍化

 豊富な栄養価や低糖質・低カロリーなどで近年、注目されている植物性ミルク。このカテゴリー内で売上シェアの8割以上を占めているのが豆乳だ。

 インテージSRI+によると、豆乳カテゴリーの2022年9月から23年8月の期間通算の市場規模は対前年同期比4.5%減の429億円となった。

毎日の生活に取り入れやすく手に取る人も多い植物性ミルク(i-stock/Geo-grafika)

 月別の動きを見ると22年9月は、前年にTVの情報番組で植物性ミルクが取り上げられた裏年にあたることもあり、前年同期比で10%以上のマイナス。その後も23年6月までは前年を下回っている【図表1】

 昨年は2ケタ成長を示していたアーモンドミルクについても、豆乳と同様の傾向がみられる。アーモンドミルクカテゴリーの22年9月から23年8月の期間通算の市場規模は前年同期比7.1%減の90億円となった。月別の推移を見ると、前年はほとんどの月で2ケタ増が続いていただけに22年下期の状況は厳しく、なかでも22年9月は同32.3%減と大きく落ち込んだ。しかし、その後は徐々に回復し、23年5月以降はプラスに転じている【図表2】

 植物性ミルクはコロナ禍以降、健康意識の高まりもあり、幅広い層の消費者が手に取るようになった。とはいえ植物性ミルクは牛乳と比べまだまだ嗜好品としてのイメージが強く、物価上昇の影響もあり今期の結果になったと推測される。

栄養面の魅力を紹介し、トライアルを促進

 健康志向に加えヴィーガンの増加やSDGsの観点から、大豆やアーモンド、オーツ麦といった植物由来による食品への関心は年々高まっている。

 ポッカサッポロフード&ビバレッジでは好調の「アーモンド・ブリーズ」から、1本で2種類の植物性素材が味わえる「アーモンド・ブリーズアーモンドミルク&オーツミルク無糖」と「同アーモンドミルク&ココナッツミルク無糖」を発売。江崎グリコは7月22日のナッツの日に合わせ、熱中症対策として「アーモンド効果」を訴求している。

 数ある植物性ミルクのなかでも豆乳は歴史も長く、フレーバー付きの飲みきりタイプから無調整のしっかりした味わいのもの、ファミリーユースの大容量品まで商品のバリエーションが多い点も魅力となっている。

 キッコーマンソイフーズは新商品として「アフォガート」味や「まろやか青汁」味を展開。マルサンアイは厳選した原材料のみを使用した「ひとつ上の豆乳」シリーズから和栗フレーバーを発売した。

 植物性ミルクの最大の課題は、知っているけれど飲んだことはない「認知未購入者」へのトライアル訴求だ。現状、植物性ミルクは牛乳同様、そのまま飲むことがメーンとなっているが、コーヒーや紅茶に入れたり、シリアルにかけたり、料理に使ったりなど、使い方を広げることで使用頻度も向上する。売場でも栄養面での魅力をPOPやボードで紹介するほか、フレーバー付きの飲みきりサイズ訴求や、レシピと絡めて提案することでハードルを下げ、購買に結び付けていきたいところだ。