コロナ禍による内食機会の増加やオートミールの好調により、拡大を続けてきたシリアル市場。2023年上期は成長を牽引してきたオートミールが苦戦したことで前年割れとなった。そのなかでも値ごろ感のあるコーンフレークが堅調に推移している。
構成比の高いグラノーラは糖質オフタイプが好調
KSP-POSデータによると、シリアルの期間通算(2022年9月~23年8月)の金額PIは、2864円で対前年同期比5.8%減、数量PIは7.53で同8.6%減。22年上期まではコロナ特需により好調に推移していたが、下期から前年割れが続いている。
カテゴリー別にみると、シリアル市場で最も構成比の高いグラノーラの金額PIは1621円で同0.9%減、数量PIは3.23で同5.8%減。価格改定の影響で金額PIでは前年並みとなった。グラノーラで伸長しているのが糖質オフタイプ。コロナ以降、健康意識は継続して高いままで、糖質オフタイプは今後も需要が高まることが予想される。
日清シスコではこの秋に「ごろグラ 糖質オフ」シリーズをリニューアル。1パックの内容量を350g(7日分)にボリュームアップ。パッケージも白を基調としたスタイリッシュなデザインに一新した。また機能面や栄養素の高さを数量でわかりやすく表現するなど、「ごろグラ 糖質オフ」シリーズが本来持っている機能面の高さをわかりやすく伝えた。
ブランの金額PIは221円で同8.2%減、数量PIは0.54で同12.8%減。玄米フレークの金額PIは93円で同0.2%減、数量PIは0.25で同10.3%減となった。グラノーラ同様にそのほかのシリアルも数量PIは大きく前年割れとなったが、価格改定の影響で金額PIでは前年並みとなっているものが多い。そのなかでも好調なのが、コーンフレークで金額PIは444円で同4.3%増、数量PIは2.01で同0.7%減。食品の値上げが相次ぎ、生活者の節約意識が高まっている。
なかでも値ごろ感のあるコーンフレークは、子供の朝食やおやつなどに選ばれている。今年で発売60周年を迎えた日清シスコの「シスコーン」は、さまざまな発売60周年の企画を実施し、市場を盛り上げている。
オートミールの金額PIは2ケタ減、米化の普及が拡大のカギ
オートミールは食物繊維や鉄分、たんぱく質などの栄養素が豊富で、ごはんと比較してカロリーや糖質が低く、調理におけるアレンジの幅の広さから美容や健康に関心の高い女性から人気を集め、急成長を遂げたが、ここにきてブレーキがかかった。オートミールの期間通算の金額PIは、339円で対前年同期比25.7%減、数量PIは0.93で同24.5%減となった。栄養豊富なオートミールは健康感から食べ始めたものの、味や食感の面で長続きせず、離脱する人が目立ち、市場縮小につながった。
オートミールをごはんの代わりに日常的に食べてもらうために各社では、米化したオートミールを次々に発売している。日本食品製造の「日食 新しい主食 全粒オートミール」、日本ケロッグの「粒感しっかりオートミールごはん」、はくばくの「オートミールごはん」、日清シスコの「おいしいオートミール 新ごはん」など。ごはんのような形と食感を実現し、ごはんに代わる主食として提案している。米化したオートミールなら朝食だけでなく昼食や夕食など、食シーンも広がる。オートミールの喫食経験率は3割程度にとどまっているため、間口を広げることでさらなる市場拡大が見込めそうだ。