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マツキヨはなぜ近畿大学と商品開発するのか?

マツモトキヨシホールディングス(千葉県:以下、マツモトキヨシHD)は2019年10月3日、近畿大学(大阪府)の東大阪キャンパスにプライベートブランド(PB)商品の共同開発拠点を開設。近畿大学との産学連携によるPB商品開発に着手する。

PBコスメを試用する女子学生

2020年秋頃までに商品化をめざす

 マツモトキヨシHD103日、近畿大学との産学連携によりPB商品を共同開発するプロジェクトを立ち上げ、プロジェクトを推進する専用スペース「マツモトキヨシACT(アクト)」を近畿大学東大阪キャンパス内の産学連携拠点「アカデミックシアター」1階に開設した。マツモトキヨシHDが大学との産学連携に取り組むのは商品開発においては初となる。

 この共同開発プロジェクトでは、近畿大学の学生約20人を公募し、1チーム5名程度で学部横断のプロジェクトチームを編成。マツモトキヨシHDの商品開発部門や人事部と連携しながら、商品の構想、開発、パッケージデザイン、流通、マーケティングまで、PB商品の開発にまつわる一連のプロセスに取り組む。商品ジャンルはあえて絞り込まず、化粧品や日用品、食品など、幅広く検討していく。11月以降、ワークショップやセミナーを定期的に開催しながら、203月末までに新商品のアイデアをまとめ、4月からは具体的な開発プロセスに入る計画だ。20年秋頃までに、マツモトキヨシHDの会議体での承認を経て、商品化することを目指す。

 マツモトキヨシHD192月に西日本の大学では初となる包括連携協定を近畿大学と締結し、産学連携によるPB商品の開発に取り組む方針を明らかにしていた。「自由闊達に創意工夫に取り組む」という「マツモトキヨシWAY」を理念に掲げる同社と、実学教育を建学の精神のひとつとして、医学部・薬学部を含む14学部48学科を擁する西日本最大級の総合大学である近畿大学が連携し、学生ならではの発想やアイデアからマツモトキヨシHDらしい驚きのある革新的なプロダクトを生み出すことで、10代から20代の若年層の取り込みにもつなげたい考えだ。

 

「商品開発はアイデア勝負」

「マツモトキヨシACT」開設記念イベントの集合写真

 「マツモトキヨシACT」では103日、近畿大学の学生を対象に、オープン記念イベントを開催。100人以上の学生が集まり、PBのエナジードリンク「エクストロング・エナジードリンク(EXSTRONG ENERGY DRINK)」やオーガニックコスメ専門PB「アルジェラン(ARGELAN)」のスキンケア商品など、人気のPB商品を試用したり、管理栄養士の対面カウンセリングをもとに一人ひとりに最適なサプリメントを提案する「サプリメントバー(SUPPLEMENT Bar)」を体験した。マツモトキヨシHDとのPB商品開発に関心を持つ薬学部4年生の女子学生は「化粧品が大好きなので、安くて使いやすく、かわいい化粧品をつくってみたい」とプロジェクトへの参加の意欲を語っていた。

マツモトキヨシHD商品開発課課長の櫻井壱典氏

 マツモトキヨシHD商品開発課課長の櫻井壱典氏が「商品開発はアイデア勝負。そのためにはできるだけ多くの人の頭を使うことが大事」と強調するように、同社ではPB商品の開発において、より多くの人々の多様な声を積極的に活かしている。傘下の店舗スタッフが中心となって考案したカフェインゼロの菓子「チョコレート風キャロブミルク」がその代表例だ。

 近畿大学は、民間企業からの受託研究実施件数が日本の大学で最も多い。174月には、「アカデミックシアター」内に味覚糖(大阪府)との産学連携ラボ「キスラボ」を開設し、これまでに「特濃ミルク8.2(近大ハニー)」など、7商品を共同開発している。「マツモトキヨシACT」の運営に協力する近畿大学薬学部多賀淳教授は、「消費者と直接接点を持つマツモトキヨシHDは膨大な顧客データを有し、商品開発に活かしている点で、一般的なメーカー企業の商品開発とは異なる。その一連のプロセスに関与できることは学生にとっても貴重な経験になるだろう」と述べている。