乳製品から除菌装置、食品の商品開発までに取り組む研究技術者の集団カンパニーとして注目されているのがデイリーテクノ(東京都港区)だ。社長以下、全スタッフが、大手乳製品メーカーで研究技術を長年蓄積したメンバー。「ファブレス」(工場を所有しない)で自社商品の開発とプライベートブランド(PB)商品開発に取り組み、国内外も含めた事業展開に挑む小さな実力派メーカーである。
ラクトフェリンの商品化が進む
デイリーテクノは、画期的な技術、素材を開発し、自社商品に加え、各社に提供するBtoB企業でもある。同社が開発した画期的な技術の一つが、乳の分画化(混合物を構成する成分に分ける)する膜分離技術(メンブレンテクノロジー)だ。その技術から生まれたのが、ラクトフェリン(多機能性たんぱく質ラクトフェリン)である。
同社は現在、ラクトフェリンの商品化に力を入れている。ラクトフェリンは哺乳類の母乳に含まれている成分で、初乳に多く含まれている。新商品として自社商品の「おもいっきりラクトフェリン」(パウダー一袋45g、5400円税込み)を2月20に新発売した。
この商品の成分には、ラクトフェリン、ラクチュロース(乳糖から造られるミルクオリゴ糖)、ビフィズス菌(腸内環境を整え、サポートする善玉菌)、マルトデキストリン(水溶性・高純度の炭水化物)などが含まれている。赤ちゃんから高齢者まで食べられる希少たんぱく質ラクトフェリンで、手軽に食べられる健康補助食品として注目されている。
食べ方としては高温に弱いため、70度以上の飲み物には混ぜないように注意書きがある。好みで飲み物やヨーグルト、料理に混ぜて食べる。1日の目安の摂取量は乳幼児で1日1g、子供で2g、成人で3g、高齢者で5gと、少量で利用できる。
自社商品の食品ブランドが“10秒で美味しいカフェ”が楽しめるをコンセプトとした「テンスカフェ」(口栓付き紙容器、500m1500円税込み)。乳業分野の技術とアイデアを活用した、濃縮をしない、抽出技術を駆使した10倍希釈型の高濃度コーヒーである。厳選されたアラビカ種のコーヒー(ブラジル、モカ、コロンビアなど)の最適な焙煎抽出技術と調合技術で、保存料、安定剤、香料を一切使用していない商品である。
除菌、消臭剤の生成装置の商品開発
同社の冨田守社長は「我々は研究技術者であり、食品加工技術者の集まりです。単なる技術集団ではなく、工場設計から単品製造まで、歳月をかけ、蓄積したノウハウには他社に比べ大きな自信を持っています。今までコンサルティング事業が主力でしたが、今後はファブレスカンパニーとして、各メーカーと提携してPB商品開発を積極的に事業展開していきます」という。
食品以外の分野で長年研究開発してきたのが、除菌装置である。新型コロナ感染で脚光を浴びた除菌。元森永乳業の役員であり研究者でもある冨田氏。除菌については、30年以上の研究・開発を続けてきた強みが生きている。
また、デイリーテクノはアクアサニタ―事業部で除菌水、除菌水生成装置を開発し、国内と海外への普及拡大に力を入れている。希塩酸を電気分解して生成する微酸性次亜塩素酸性水の生成装置である。
アクアサニタ―は同社の登録商標であり、水のように気軽に、どこでも手軽に使える微酸性次亜塩素酸水(電解水)である。ナトリウムイオンや食塩を含まない。人にも、厨房内の機器、設備にも安心。安全に使え、製造現場、店舗の環境改善、生活環境の衛生対策に使われている。
「わが社の商品は長年の技術ノウハウから生まれたものばかり。『ラクトフェリン』『テンスカフェ』、そして、『アクアサニタ―』も、すべて技術ノウハウを結集した商品開発です。独創企業と周りから評価されていることはありがたい」(冨田守氏)
技術に裏付けられた商品開発で他社との連携事業が活発化している。国内、海外の含めて走り出しているデイリーテクノの今後の動向から目が離せない。