ここ数年、メロンソーダやプリン・アラモード、ナポリタンなどを中心に、昔ながらの昭和レトロな喫茶店メニューに再び注目が集まっている。
ホットペッパー外食総研の調査データによると、喫茶店人気の背景には、その「レトロな雰囲気」や「静かな雰囲気」があり、これは横丁やレモンサワーがブームになった時と同様、主に40代以上の消費者を中心に、懐かしさからの「ノスタルジー消費」を促している。一方、若者にとっては昭和レトロな雰囲気は逆に非日常で、新しさがあり、こうした要素が人気に火をつけていると考える。
昔ながらの喫茶店の雰囲気で味わうという空間あっての「昭和体験」がウケている点もあり、商品開発に生かすのは難易度が高いかもしれないが、だからこそ面白さがある。実際、総菜やスイーツのメニューに「昭和風」「喫茶店風」を取り入れる食品スーパーも出てきた。そこで今回は、昭和レトロで人気の3店から、商品開発のヒントを探っていきたい。
①王道!昔ながらのナポリタン専門店
「スパゲッティーのパンチョ」
昔ながらのナポリタンの専門店。ナポリタンといえば、好きな喫茶店メニューで堂々の1位(ホットペッパーグルメ外食総研調べ)。また日本で独自に進化したスパゲッティメニューの1つでもあり、日本の食文化を代表する逸品といっても過言ではない。
今では首都圏を中心に30店舗ほどを展開する「パンチョ」は、定番のナポリタンから、「オムナポ」、「カレーナポ」などアレンジメニューも存在し、老若男女問わず、多くのファンでいつも賑わっている。昔懐かしの銀皿で提供されるナポリタンは、潔い太麺にソースがしっかり絡み食べ応え十分だ。麺の量も選べるため、是非、いつもより多めを注文し、存分に味わってほしい。
店舗名 「スパゲッティーのパンチョ 渋谷店」
所在地 東京都渋谷区道玄坂2-6-2 藤山恒産道玄坂ビル地下1階
営業時間 11:00~23:00
定休日 無休
②元祖ピザトーストのお店
「珈琲館 紅鹿舎(べにしか)」
こちらは、ピザトーストの元祖といわれるお店だ。ピザトーストといえば、喫茶店の定番メニューの1つ。同店のピザトーストは、それだけでもおいしい厚切りのトーストに、玉ねぎ、ピーマン、ハムといったシンプルな具材とソース、そして少し重ためのチーズがたっぷりなところも、昭和レトロ感があってよい逸品だ。
これにサイフォンでいれた本格コーヒーを味わえば、昭和にタイムトリップしそうだ。そのほかにも、ナポリタンやパフェなどレトロ感あるメニューが並ぶ。
朝から夜遅くまで営業し、どの時間帯でも同じメニューが味わえるのも昔ながらの喫茶店らしくてよい。近年は夜パフェなるものが人気となったが、“夜喫茶”メニューなども面白いかもしれない。
店舗名 「珈琲館 紅鹿舎(べにしか)」
所在地 東京都千代田区有楽町1-6-8 松井ビル1F
営業時間 9:30~23:30
定休日 無休
③進化系メニューを味わえるネオ喫茶
「喫茶 ニカイ」
昨今、ネオ喫茶と言われる、昔ながら純喫茶風の空間でありながら、コーヒーや昔ながらの喫茶店メニューを今風のメニューにアレンジして提供しているお店が増えている。「喫茶 ニカイ」はが、その「見本」となるお店だ。
同店は、器店の2階にある喫茶店。シグニチャーメニューであるクリームソーダやフロートは10種以上提供する。喫茶店の定番メニューのひとつ「フレンチトースト」は、懐かしさのなかに、新しさもあり、まさに進化系・喫茶メニューを味わえるお店だ。喫茶店風メニューを開発する上で、このシンプルな中に、デザイン性を感じる商品の数々からヒントを得たいところだ。
店舗名 「喫茶 ニカイ」
所在地 東京都台東区谷中6-3-8-2F
営業時間 11:00~18:00
定休日 水曜日
「ホットペッパーグルメ外食総研」上席研究員
有木 真理(ありき・まり)
リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めると共に、ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成や更なる外食機会の創出を目指す。自身の年間外食回数300日以上。ジャンルは立ち飲み~高級店まで多岐にわたる。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがうりで1日5食くらいは平気で食べることができる。「ホットペッパーグルメ外食総研」https://www.hotpepper.jp/ggs/