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1000円越えも登場!果物をサラダに、デザートに 青果売場の「価値を高める」戦略

 スーパーマーケットは、値下げ競争にしのぎを削った「デフレの売場」から、値上げしてもなお欲しくなる付加価値を追いかける「インフレの売場」へ移行しつつあるーー。10月以降、一品単価に値上げの影響が如実に現れるようになった業界には、そんな雰囲気を感じます。買上点数が落ちても客単価は伸びており、客数まで伸ばすチェーンも散見されるようになってきました。

 情勢はまた変わる可能性もあるわけですが、2022年度上期の決算発表をしていた頃とは違う印象です(それだってほんの1~2ヵ月前のことですが)。業界団体が毎月発表している景気判断指数や消費者購買意欲指数も、10月に入って急に改善しています。

 そうした雰囲気になってから出てきたわけでもありませんが、各社、新しい価値を作ろうとする商品開発は続いています。好調な総菜、冷食とは別の動きとして、今回は青果売場の意欲的な試みを取り上げます。

野菜&果物のサラダなど、店内加工サラダの商品開発が発展(ライフビエラ蒔田店)

野菜は日常食、果物はご褒美?

 かつて「野菜は価格、果物は味」と聞いたことがあります。

 購入の際に何を重視するかという話で、買った野菜がまずくて文句を言う人は少ないが、果物がそうだとクレームにもなる。野菜はそもそも、高ければ買われない……。やや極端な気もしますが、データに基づいた傾向だそうです。

 野菜は毎日の副菜であり、魚よりも肉よりも購入機会の多い日常食ということでしょう。

 一方で果物はデザートの範ちゅう。日常の中にあっても「ご褒美」と位置付けられるものであり、ときには奮発も許されます。

 野菜を日常的に取り入れようとする際、カット済みの野菜や、すでにサラダになっているものはやはり便利です。しかし、野菜だけでは日常食かつ副菜にしかなりません。付加価値を高めるためにチキンやローストビーフ、サーモンをのせるといった工夫が続いており、青果部門だけでは完結しないことが多いようです。

 そんな中、日常のご褒美カテゴリーである果物と合わせるという発想が見られるようになってきました。

 ライフコーポレーションの最近のサラダ売場には、その名も「フルーツサラダ」がありますし、秋には「柿とアボカドのサラダ」が並びました。

 最近、いろいろなメディアでフルーツと野菜を合わせたサラダを見る機会が増えている気がします。柑橘系は幅広く使えそうですし、イチゴやリンゴの酸味も合うでしょう。シャインマスカットでさえサラダになるそうで、オリーブ油とバルサミコ酢をかければ、だいたいのものはまとまりそうです。

 「果物にドレッシングは妙だな」と思うかもしれませんが、新奇性は大事な提案要素です。野菜&果物の組み合わせが面白いのは、デザートの果物が野菜に加わることで、日常食だった野菜のサラダが、一風変わったものになることです。一方で、デザートだった果物は、サラダという日常食のシーンに進出を果たせます。一方の価値を高め、一方の頻度を高める。青果部門の黄金タッグではないでしょうか。

果物をデザートに仕立てて、価値が飛躍

 

フルーツをゼリーにして付加価値を高める(右ヨークwithザ・ガーデン自由が丘 西落合店。左東武ストア松原店)

 デザートである果物には、まさにデザートとして付加価値を高める道もあります。これまでも青果のフルーツを使ったタルトや杏仁豆腐、フルーツサンドといった商品開発は見られました。最近の店舗ではゼリーの商品化を続けて見ました。

 東武ストアが12月に展開を始めた「オリジナル フルーツゼリー」は、カットフルーツをより食べやすくするための工夫だそうです。第1弾商品のうち「シャインマスカットといちごのゼリー」で本体価格398円。生のフルーツを使ったデザートとしてはリーズナブルですが、日配のデザートと比較すれば、それなりの付加価値商品です。

 11月末オープンのヨークフーズ with ザ・ガーデン自由が丘 西落合店(東京都新宿区)では、オリジナルデザートの新作「あまおう苺のとろけるジュレ」が本体価格1200円でした。この価格帯、まさに価値創造。時代は変わろうとしているという衝撃を受けました。

 ジュレの下段には、やはりオリジナルの「フルーツビネガー」を陳列、これも1380~1780円の新価値創造アイテムでした。インフレ時代における果物の可能性を感じた次第です。

 実は日常食の野菜にも、デザートに発展する芽はあります。

サツマイモスイーツのバリエーションも広がる(マルエツ板橋南町店)

 2022年は、何度目になるのか分かりませんが、焼き芋をはじめとするサツマイモスイーツがブームになりました。焼き芋や大学芋を冷やして食べるスタイルが広まり、コンビニではミニストップが今夏、温かい焼き芋にソフトクリームをのせる「台湾蜜いもソフト」(本体価格360円)をヒットさせました。

 価値創造の競争では、どんな商品設計だって起こりえるのだと思うこの頃です。