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中食実態調査、スーパーでの購入増も 意外な年代・カテゴリーで伸び悩み

 リクルートの飲食に関する調査・研究機関である『ホットペッパーグルメ外食総研』では、毎月、首都圏・東海圏・関西圏の約1万人を対象に、夕方以降の外食・中食の実施状況についての調査を行っている。2021年度(2021年4月~2022年3月)の概況がまとまったので概況を紹介する。

コロナ収束も
中食は継続伸長!

コロナが収束しつつあり外食が微増しても、中食は減少せず伸長傾向にある(kyonntra/istock)

 20年度はコロナ禍初年度であったため、外食市場は大きく後退し、逆に中食市場は急拡大(対19年度比19.8%増)した年度であった。

 対して、コロナ禍2年度目にあたる21年度は、外食市場は同0.1%増と横ばいに留まり、中食市場は同3.5%拡大した。3圏域合計の中食市場規模は1兆5225億円と推計された。その内訳としては、延べ回数が同1.8%増の17億5695万回(推計)、平均単価が同1.6%増の867円だった。外食の延べ回数も同1.2%増と微増したことから、内食(自炊)は減少したと考えるのが自然である。

 延べ回数はさらに、1カ月当たりの実施率と実施者の平均頻度に分解されるが、中食の実施率は70.8%(前年度69.3%)、実施頻度は5.11回/月(同5.09回/月)となっており、実施率・頻度ともに伸びている。

最も伸びなかったのは
意外にも20代男性

 性年代別では、最も中食の購入シェアが高いのは、基準人口が多いこともあって40代男性だ。回数ベースでは13.7%、単価を掛け合わせた市場規模シェアでは13.5%となっている。

 前年度からの伸び率については、最も高かったのは、回数ベースでは50代男性(同6.9%増)、逆に最も伸び率が低かったのは20代男性(同3.6%減)。市場規模ベースでも、最も伸び率が高かったのは50代男性(同10.5%増)、最も伸び率が低かったのが20代男性(±0.0%)であった。

「デパ地下」「その他」が増加
「コンビニ」は微減

 

図表1

 2022年5月には外食・中食についての追加調査も行った(図表1)。同年4月の中食の購入チャネル別のシェアでは、1位「スーパーマーケット」(月間利用率60.1%、前年同月59.9%)、2位「外食店のテイクアウト」(同32.3%、前年同月33.2%)、3位「コンビニエンスストア」(同23.3%、前年同月24.6%)、4位「百貨店(デパ地下など)」(同18.7%、前年同月15.4%)、5位「持ち帰り専門店」(同17.8%、前年同月18.0%)、6位「その他小売店(ディスカウントストアなど)」(同10.7%、前年同月9.3%)となっている。

 前年に比べると、「外食店のテイクアウト」は微減したものの、19年同月比では高止まり、「コンビニエンスストア」「持ち帰り専門店」は微減、「百貨店(デパ地下など)」「その他小売店」「スーパーマーケット」はシェアが増加している。

 「外食店のテイクアウト」「その他小売店」では、とくに20代女性でシェアが高く、若年女性を取り込んでいることで利用者の高止まりや増加につながっている可能性がありそうだ。

「寿司・和食」「ピザ・パスタ」は
購入率が減少

図表2

 中食の購入品目については、1位が「総菜・おかず・揚げ物類」(月間購入率53.0%、前年同月51.0%)、2位「弁当」(同41.4%、前年同月40.5%)、3位「寿司・和食」(同38.6%、前年同月40.4%)、4位「パン・サンドイッチ・ハンバーガー、おにぎり類」(同27.1%、前年同月26.0%)、5位「ピザ、パスタ」(同17.9%、前年同月18.8%)となっている(図表2)。

 上位5品目の順位は前年と変わらないが、「総菜・おかず・揚げ物類」の購入率が微増し、「寿司・和食」は購入率が下がっている。なお、中食の購入理由を聞くと、1位「簡単に済ませたい」(61.5%、前年同月59.4%)、2位「料理するのが面倒なときがある」(44.5%、前年同月41.7%)、3位「料理をする時間がない」(32.4%、前年同月28.7%)とトップ3の理由には変化はなかったが、それぞれ数値が増加した。

 一方で「人が多く集まる空間を避けられる」については、12.1%(前年同月17.6%)とコロナ禍1年目よりは数値が落ち着いている。


【調査概要】
調査形式 :インターネット調査
調査期間 :2021年4月~2022年3月(毎月)
有効回答数:毎月約1万人(首都圏、関西圏、東海圏の合計)令和1年人口推計に基づいて性別・年代・地域の250区分でウエイトバックを実施)

 

【執筆者】
『ホットペッパーグルメ外食総研』上席研究員 稲垣昌宏

執筆者

エイビーロード編集長、AB-ROAD.net編集長、エイビーロード・リサーチ・センター・センター長などを歴任し、2013年ホットペッパーグルメリサーチセンター・センター長に就任。市場調査などをベースに消費者動向から外食市場の動向を分析・予測する一方、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や地方創生に関わる活動も行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」