原材料価格の高騰を受けて、食品スーパー(SM)各社では商品の値上げが続いている。そうしたなか精肉部門でも、品揃えや商品価格を見直すことが求められている。価格設定のポイントや、消費傾向が大きく変わるなか新しい価値を創出する施策を専門家が解説する。
「品質」と「価格」のバランスが重要
SM各社で値上げが続く一方、消費者の節約志向は高まっている。節約とは、お客が商品をあらためて吟味をする、ということだ。こうしたなか精肉部門でも、自社の商品や価格はお客のニーズに対応できているか、見直さねばならない。
これまでの寄稿でも述べてきたように、ここでいう価格の見直しとは、単に絶対価格を上げ下げすればよいのではない。「品質」と「価格」のバランスを考慮して商品設計・価格設定を行い、その改定によって商品のファンを増やすことをめざすものだ。そのためには、売り手の目線ではなく、お客の目線に立つことが必要である。本稿ではこれらを前提に、新たに迎える2023年に実践したい、精肉部門の売場づくりについて述べる。
はじめに、今、精肉部門がお客に価値を提供するためには次のような施策が有効だと考える。具体的には「①部位、原材料ごとでの多用途対応、多アイテム化」「②ふだん使いのアイテムに求められる価値の追求」「③育ち盛り、食べ盛りの子供を持つファミリー向けアイテムの提供」「④高品質を求める層にも対応した品揃え」「⑤お酒とともに楽しめる『おうちバル』商品の提案」「⑥アウトドアで楽しめる“ワイルド”な商品開発」の大きく6つだ。順に解説していこう。
まず「①部位、原材料ごとでの多用途対応、多アイテム化」とは、部位、原材料ごとに、お客のさまざまな用途に対応した商品を提供するというものだ。これは6つの施策すべてに通じる基本といえる。
国産牛肉や豚肉を「半丸セット」で仕入れる場合、担当者のスキルによって商品化するのが得意な部位、逆に不得意な部位がある。しかし不得意な部位の商品化にも工夫を凝らし、得意な部位ではいっそう付加価値を提供することが求められる。とりわけ得意な部位では、お客に明確な価値を提供し、圧倒的に支持される商品の開発をめざしたい。
たとえば、若鶏のモモ肉の販売を
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