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即席麺市場、袋麺は前年割れだが、カップ麺は堅調な推移が続く

コロナ禍の巣ごもり需要により、2021年は過去最高の売上を更新した即席麺市場。カップ麺は堅調に推移しているが、袋麺は前年の反動で厳しい状況だ。需要期に向けて新商品の投入やプロモーションなどで、購買を促進していく必要がありそうだ。

外食機会の増加により袋麺は厳しい状況

 KSP-POSデータのインスタント袋麺の期間通算(2021年9月~22年8月)の金額PIは、7046円で対前年同期比0.7%減となった。20年はコロナ禍による巣ごもり需要により、調理の簡便性が高く、ストックしやすい袋麺の需要が高まったが、その反動で前年割れとなった。月別金額PIでは、2月~5月は前年を上回ったが、6月以降は値上げによる影響に加え、東京などで気温が例年以上に上昇したことで前年割れとなった。

カップ麺は堅調に推移しているが、袋麺は前年の反動で厳しい状況だ。(i-stock/Olga_25)

 袋麺は手軽にアレンジしやすく、コスパも高いことから、食卓登場頻度がアップしたが、行動制限が緩和され、外食機会が増えてきたことで、コロナ前の需要に戻りつつある。

 日清食品では、袋麺市場を盛り上げていくために、新たな取り組みを行っている。世帯人数の減少などで5食パックでは多いという家庭に向けて、付加価値を付けた3食パックの品揃えに注力。濃いスープが特長の「日清これ絶対うまいやつ 3 食パック」に加え、9月にはワンランク上の袋麺「日清極楽ラ王 3 食パック」を新発売。「日清ラ王」ならではの生麺のようなおいしさの麺に、背脂やラードが表面を覆い、見た目だけでもわかるほど濃厚でこってりとしたスープを合わせた。

 1966年の発売以来、常に磨きをかけてきた明星食品の「明星 チャルメラ」を9月にリニューアル。新たにホタテだしを練り込むことで、深い旨みとコクがアップ。麺にもスープにもホタテの旨みが加わることで、スープとの一体感が生まれた。

 サンヨー食品では、「サッポロ一番」のキャンペーンを実施。日本全国の地元のおいしさにフォーカスし、都道府県の地元ごとに「サッポロ一番」を使ったオリジナルレシピをブランドサイトなどで発信している。

ロングセラーブランドを中心に堅調な推移が続くカップ麺 

 KSP-POSデータのカップ麺の期間通算の金額PIは、1万7432円で対前年同期比2.5%増。コロナ特需が一周したあともカップ麺は堅調な推移が続いている。袋麺同様に6月以降は値上げと天候要因もあり、前年割れとなった。

 ロングセラーブランドを筆頭に定番商品が底堅い人気のカップ麺。トップブランドの「カップヌードル」は、昨年好評だった「カップヌードル スーパー合体」シリーズの第2弾を発売するほか、9月からは「カップヌードル」シリーズ18品を対象にしたキャンペーンを行い、売場のバックアップを図っている。

 今年で発売30周年を迎えた東洋水産の「マルちゃん 麺づくり」。生麺食感をさらに追求した麺と、食欲をそそる香りを付与したスープにリニューアルした。

 ヤマダイでは「ニュータッチ 凄麺」逸品シリーズに、和風2品を新発売。「凄麺」史上初のうどんとなる〈肉汁うどんの逸品〉と、〈鴨だしそばの逸品〉の2品だ。

 寿がきや食品は、地方の優れた素材を使用したこだわりのブランド「逸品素材シリーズ」に、富山湾産の白えびを使用した「富山白えびラーメン」を新発売。希少な素材を使用した高付加価値商品の投入で、さらなる市場の活性化を図る。