豊富な栄養価や低糖質・低カロリーなどで近年、注目されている植物性ミルク。従来の豆乳に加えて、アーモンドミルクやオーツミルクなど、さまざまな原材料による商品が発売されたことで市場が活性化してきている。
コロナ禍以降露出も増え、注目度が増す植物性ミルク
健康志向に加えヴィーガンの増加やSDGsの観点から、プラントベース食品への関心は年々高まっている。中でも植物性ミルクは牛乳の代替品として毎日の生活に取り入れやすく、手に取る人が増えている。
植物性ミルクの中で売上シェアの8割以上を占めるのが豆乳だ。インテージSRI+によると、豆乳カテゴリーの2021年9月から22年8月の期間通算の市場規模は前年比0.2%減の449億円となった【図表①】。
豆乳はロイヤルユーザーを多く抱えているカテゴリーだが、コロナ禍で生活者の健康意識がより高まったことで新規ユーザーを獲得。牛乳と比較し常温保存できる点も魅力で、外出自粛に伴いまとめ買いをするユーザーもいたことから売上が大きく伸びたが、21年以降はその動きも落ち着いている。
豆乳はフレーバー付きの飲みきりタイプから無調整のしっかりした味わいのもの、ファミリーユースの大容量品まで商品のバリエーションも多く、味の好みや用途で選ぶ楽しみがある点も魅力となっている。
植物性ミルクの中で日に日に存在感を増しているのがアーモンドミルクだ。欧米諸国ではベジタリアンやヴィーガンの増加に加えて、環境への配慮から牛乳などの動物性食品の摂取を減らしたいという意向が強く、アーモンドミルクも牛乳、豆乳に続く第3のミルクとして定着している。
【図表②】のアーモンドミルクカテゴリーの21年9月から22年8月の期間通算の市場規模は前年比27.5%増の97億円と、20%以上の大幅伸長となった。月別で見るとほとんどの月で2ケタ増が続いており、中でも21年9月は前年同期比97.1%増と驚異的な伸びを示している。
飲み方やレシピ提案でトライアルを促進する
アーモンドミルクはそれまで健康や美容意識の高い女性向けのイメージが強かったが、カフェチェーンやレストランなど、アーモンドミルクを使用する飲食店が増え、目にする機会が増えた。TVの情報番組や雑誌など多くのメディアで取り上げられたことで認知度も拡大。健康効果を期待し、幅広い年代の消費者がアーモンドミルクを手に取っている。
アーモンドミルクはポッカサッポロフード&ビバレッジ「アーモンド・ブリーズ」、マルサンアイ「毎日おいしいローストアーモンドミルク」、グリコ「アーモンド効果」と各社が商品を展開しており、流通企業によってはPB商品も開発している。さらにデルタインターナショナルではクルミ、アーモンド、ヘーゼルナッツをペースト状にして使用した「ロカボナッツミルク」を発売しており、植物性ミルクの売場自体も広がってきている。
現状、植物性ミルクは牛乳同様、そのまま飲むことがメーンとなっているが、コーヒーや紅茶に入れたり、シリアルにかけたり、料理に使ったりなど、使い方を広げることで使用頻度も向上する。売場でも栄養面での魅力をPOPやボードで紹介するほか、レシピと絡めて提案することで、植物性ミルクを手に取る機会を増やしていきたいところだ。