コロナ禍で伸長した漬物カテゴリーだが、今期は前年の反動を受け、微減に転じている。売場を再活性化するにはご飯のお供としてだけでなく、料理に混ぜる、トッピングで使用するといったメニュー提案で若年層に訴求することも重要となる。
内食需要の高まりにより、生産量は4年連続で伸長
KSP-POSデータによると、2021年8月から22年7月の漬物カテゴリー全体の期間通算金額PIは前年同期比3.8%減の20712円、数量PIは3.9%減の101.7と、金額・数量共に前年を下回る結果となった。
漬物の定番である「キムチ」はカテゴリー全体と比較しても厳しく、21年8月から22年7月の期間通算の金額PIは7.4%減の5721円。特に年末年始にあたる21年12月から22年1月、ゴールデンウィーク期間の5月は前年比で2ケタのマイナスとなっている。
他の漬物類についても「たくあん」が前年並みを保った程度でどのカテゴリーも前年に対し微減となっており、コロナ禍により内食機会が急増した前年の反動を大きく受けたことが分かる。
一方、食品需給研究センターの「食品製造業の生産動向調査」によると、21年の漬物の生産量は前年比5.1%増の81万6627トンと4年連続の伸長となった。月別で見てもすべての月で前年超え。サブカテゴリー別で見ると、塩漬け類は前年を下回ったが、「しょうが漬け」(前期比11.2%増)や「キムチ」(同13.9%増)「たくあん漬け」( 同13.1%増)は2ケタの大幅伸長。また「浅漬け」や「野菜刻み漬け」「その他醤油漬け」、「奈良漬」「味噌漬け」についても前年を上回る生産量となっている。
料理提案や季節感演出など、華のある売場づくりへ
少子高齢化による世帯人数の減少や食の洋食化による米食の減少、生活スタイルの変化に伴い、若年層を中心に漬物離れが進んでいる。また、主要顧客である中高年世代でも健康志向の高まりを受けて、漬物イコール塩分が多いというイメージから、漬物を敬遠しているユーザーもいるようだ。
しかしコロナ禍を機に家で食事する機会が増えたこともあって、あらためて漬物を手に取る消費者も増えてきた。特にキムチは白菜だけでなく、キュウリを使った「オイキムチ」、大根を使った「カクテキ」などバリエーションも多く、キムチ鍋や炒め物など、料理への汎用性の高さで人気がある。
コロナ禍においては在宅時間が長くなり、家で食事を作る機会も増えていることから、他の漬物もご飯のお供としてだけでなく、おにぎりやチャーハンの具材など、さまざまなメニュー提案を行っていくことで若年層が手に取る機会を増やすことができるだろう。
また近年は、減塩ニーズに対応して塩分控えめの漬物も登場している。たとえば肉厚でやわらかい専用品種の小松菜を使ったマルハチの「やわらか菜」は、25%減塩のやさしい味付けで年代問わず人気がある。
漬物は、他のカテゴリーに比べてロングセラーが多いこともあって商品の入れ替えが少ないが、野菜の旬に合わせた限定品も出ており、季節感を演出できる部分もある。
ご飯のおかずとしての定番商品のラインアップに加え、季節商品の紹介や料理アレンジなど多彩な提案を行うことで売場の活性化につなげたいところだ。