近年の健康・減塩意識の高まりにより、塩分摂取量は減少傾向にあるが、それでも摂取目標量には程遠い状態。おいしく減塩するには、減塩商品を上手に活用することが大切だ。最近は調味料だけでなく加工食品にも減塩商品が広がっており、堅調に推移している。
21年11月以降続く微減状態、22年7月は前年並みに回復
体に大切な塩分は、摂りすぎても不足しても健康に影響を及ぼす。忙しい現代人は外食や加工食品を摂ることが多く、塩分も多くなりがちだ。厚生労働省の国民健康・栄養調査によると日本人の1日の平均食塩摂取量は9.5g。年々減少傾向にあるが、それでも目標量より2.5g~3.5gほどオーバーしている状態だ。高血圧の予防はもちろん、むくみ対策にも役立つのが減塩で、シニア層だけでなく美容や健康意識の高い若年女性にも広がっている。かつて減塩商品は「味がものたりない」といったイメージがあったが、技術革新や企業努力により減塩食品の風味は向上している。
KSP-POSデータによると、加工食品の減塩・塩分控えめ商品は、2021年11月以降微減状態が続いていたが、直近22年7月は前年並みに回復した。コロナ禍による家庭内調理が浸透したことで、塩分が気になり、減塩商品を購入した人が増え、その反動で21年は前年割れになったことが予想される。
図表①の分類別の金額構成比トップ3は「インスタント味噌汁・吸物」「醤油」「味噌」。早くから減塩タイプが登場しているため、伸び率はゆるやかだが減塩商品全体の4割強を占めるまで拡大。そのほか、「バター」や「佃煮」「漬物」なども22年4月以降は前年割れが目立つが、7月はマイナス幅が縮小し、回復基調にある。
図表②の売上ランキングでは、醤油や味噌などの商品が上位にランクイン。1位はマルコメの「丸の内タニタ食堂の減塩みそ650g」で、2位がキッコーマン食品の「いつでも新鮮 味わいリッチ減塩しょうゆ450ml」。減塩醤油市場をリードするキッコーマン食品では、さまざまなニーズに対応した商品をラインアップしており、4位と5位にも商品がランクインした。味噌ではハナマルキ、フンドーキン醤油も続く。また、3位には雪印メグミルクの「北海道バター食塩不使用200g」、6位には「6Pチーズ塩分25%カット96g」、10位にはよつ葉乳業の「よつ葉バター食塩不使用150g」が入った。日常的に食べる乳製品も減塩商品が浸透しつつある。
また、購入年代を食品全商品と比較すると、60代以降の構成比が高く、全体の約6割を占める。若年層はまだまだ減塩の意識が低いため、全世代に減塩を浸透させていく必要がありそう。店頭ではユーザーの目に留まりやすいように減塩商品のコーナー化などで訴求したいところだ。