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伸長し続けているロカボ市場。さらなる拡大のための訴求やねらい目のカテゴリーは?

ロカボ商品は大きな市場となっており、年々売上も商品数も増加してきている。とくにコロナ禍以降は健康意識の向上やコロナ禍太り解消も相まって大きく伸長している。今回はスーパーのPOSデータから、ロカボ商品の動向や売場での訴求方法、今後チャンスのあるカテゴリーを探った。

ロカボ商品の動向と生活者の健康に対する意識

スーパーのPOSデータから、ロカボ商品の動向や売場での訴求方法、今後チャンスのあるカテゴリーを探った。(i-stock/Iuliia_Leonova)

 今回ロカボ商品を分析するにあたっては、商品名に「糖質」「ロカボ」を含むものに加えて、パッケージなどでこれらを謳っているもののうちとくに売上の大きいものを抽出した。【図1】は食品スーパー(KSP-POS)のロカボ商品の売上金額と商品数の推移となっており、どちらも伸びていることが見てとれる。売上金額の動きをみると、とくに2020年、2021年の伸びが大きくなっている。この背景として2020年はコロナ禍の影響でコロナ太りの解消や健康意識が高まったことが一因であると考えられるが、2021年も停滞することなくさらに大きく伸びている。生活者の健康意識は現在もなお高まっていっているのではないだろうか。

出所: ㈱KSP-SP「KSP-POS」より食未来研究室作成
ロカボ商品は全カテゴリーより商品名に「糖質」「ロカボ」を含む商品群と低カロリー甘味料、菓子カテゴリーより低糖質を謳った売上の大きい商品を抽出

 また、健康に関する生活者の関心を調べてみると、「ロカボ」の検索エンジンにおける検索数は増加しており、ほかにも「無添加」や「オーガニック」といったワードの検索数も増加してきている。このことから、体によいものを取り入れたいという意識の高まりも感じることができる。

伸びている甘味料とシリアルのロカボ商品に注目売場づくりや訴求のポイントは?

 食品スーパー(KSP-POS)のデータを見ると、ロカボ商品は酒類の構成比が最も大きくロカボ商品の売上の53%を占めており、続いて大きいのが加工食品で24%、次いで菓子類が18%となっている。この中で今回は加工食品に注目してみたいと思う。加工食品におけるロカボ商品の売上は伸びており、カテゴリー別の動きを見るととくに甘味料、シリアルの売上が大きく、伸びていることがわかる【図2】。今回はこの甘味料とシリアルの2つのカテゴリーを分析していきたい。

出所: ㈱KSP-SP「KSP-POS」より食未来研究室作成
※2021年の売上上位5カテゴリーを抽出

ロカボ甘味料は製菓材料、売場にも需要あり

出所:クックパッド㈱「たべみる」より食未来研究室作成 ※2021年マッチ度:「ロカボ×●●」というようにロカボと一緒に他の言葉を組み合わせて検索された回数が、ロカボ全体の検索に対してどの程度検索されているのか

 まずは甘味料について見ていこう。ロカボ甘味料の容量別の売上推移を見ると、近年ではとくに大容量サイズの商品の伸びが大きくなっている。先に述べたような健康意識の高まりなどから、ロカボ甘味料を常用する生活者が増えたのではないだろうか。また、この大容量のロカボ甘味料は砂糖全体やロカボ甘味料全体と比べて製菓材料と同時購入されやすいという特徴もある。お菓子づくりでは砂糖を大量に使うこともあるため、大容量がとくに購入されやすいのではないだろうか。クックパッドで「ロカボ」や「低糖質」と一緒に検索されたメニューのランキングを見てみると、スイーツ関連のワードが上位を占めており、手づくりのロカボスイーツ需要が高いことがうかがえる【表】。これらのことから、製菓材料売場にもロカボ甘味料を品揃えすることで、さらに売上を向上させることができるのではないかと考える。

シリアルのロカボ商品は健康朝食訴求を

 次にシリアルについて見ていく。【図3】はシリアル全体とシリアルの中でロカボ商品、オートミールを抽出して売上の変化を見たものである。シリアル全体も年々伸びてはいるが、その中でもダイエットや健康イメージの強いロカボ商品やオートミールの伸びが大きいことがわかる。シリアルは朝食において定番のメニューとなっているが、クックパッドで「健康」と最も一緒に検索されやすいワードは「朝食」となっている。健康な朝食をとりたいという意識が高いこともあり、より健康的なロカボ商品などを利用する生活者が増えているのではないだろうか。

出所: ㈱KSP-SP「KSP-POS」より食未来研究室作成
※2010年を1とした時の変化

 また、シリアルのロカボ商品購入者の買物特徴を調べてみると、ロカボパンや全粒粉入りなど栄養価の高いパン、シリアルバーなども購入されやすくなっている。健康的な朝食を考える生活者に対して、これらの商品を集めた売場づくりもよいのではないだろうか。

今後、ロカボ商品でチャンスのあるカテゴリーは?

 ロカボ商品の中でとくに酒類の売上割合が大きいが、お酒売場で多くのロカボ商品が並んでいるのは誰もが知るところだろう。しかし、約10年前は酒類のロカボ商品の売上はきわめて小さい状況であった。そこから大きく売上が伸びて新たな市場ができ、今ではどのスーパーでも当たり前に置いてあることに加え、ロカボ商品の中では最も売上の大きいカテゴリーとなっている。このようなことからも、現在はロカボ商品の売上が小さいカテゴリーでも市場をつくっていくことができるのではないだろうか。

 それでは、どのようなカテゴリーにチャンスがあるのだろうか。それを探るために、生鮮品以外のJANコードのあるすべての商品で、カテゴリー別の売上金額とロカボ商品の商品数を比較した【図4】。カテゴリー全体の売上とロカボ商品の商品数は比例しておらず、カテゴリー全体の売上は大きいがロカボ商品がほとんどないカテゴリーも多い。たとえば、総菜類はチルドのピザやハンバーグ、副菜などが含まれているが、ロカボ商品数は非常に少ない。酒類のロカボ商品を購入する生活者が多いことから、お酒は飲みたいけれど健康にも気をつけたいというニーズは大きいと考えられる。そういった生活者向けに、お酒に合うロカボおつまみ総菜は喜んでいただけるのではないだろうか。ロカボ市場は拡大し続けているが、食品全体の売上とロカボ商品とのギャップや、ロカボ市場の現状や求められていることを探ることで、さらなるロカボ市場の拡大につなげることができるかもしれない。

出所: ㈱KSP-SP「KSP-POS」より食未来研究室作成
※2021年 ※年間売上が100万円以上のカテゴリー

食未来研究室ホームページ : https://nsk-shokumirai.com/