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スイーツ専門店の味めざし、この夏セブン-イレブンが刷新した「3つの素材」とは

セブン-イレブン・ジャパン(東京都/永松文彦社長:以下、セブン-イレブン)は、和菓子・洋菓子商品の全面刷新を実施した。リニューアルした商品は、6月13日より店頭に並ぶ。今回の新商品の目玉は、徹底して商品の「素材」にこだわった点だ。「街のスイーツ屋さん」をコンセプトに掲げるセブン-イレブンのスイーツ部門のねらいとは。

コロナ禍で消費者が「おいしい」スイーツを求めるように

セブン-イレブンが今回、和菓子・洋菓子商品を全面刷新する背景には、コロナ禍でお客が同店で買物をする際の「スイーツ離れ」が顕在化したことが挙げられる。「おうち時間の充実」を求める消費者は、洋菓子店などのスイーツ専門店で買物をしたり、ECで商品をしたりと、「おいしいスイーツ」を求めている。事実、ミニマルが発表した2020年総括および2021年展望レポート」によると、25歳~49歳の女性111人のうち、コロナ禍で「スイーツを食べる頻度が増えた」と答えた人は約54.1%で、「スイーツを取り寄せた」という回答には約40.7%が「はい」と回答したという。

(coffeekai/iStock)

 そうした中、セブン-イレブンのチルド洋・和菓子の販売金額の合算は20年4月~21年4月までは前年比100%超えと順調に推移していたが、21年4月以降は、100%を切る月も目立っていた。同社商品本部デイリー部シニアマーチャンダイザーの平田哲也氏は、その原因について「高まるスイーツ需要に対して、当社の商品でお客さまを受け止め切れていなかった」と分析する。

 コロナ禍で顕著に高まった「スイーツ需要」と、近くのコンビニで特定の商品を購入する「目的買い」という消費者の行動に対応するためにも、セブン-イレブンは「街のスイーツ屋さん」をコンセプトに商品の全面刷新を行ったのだ。

アップグレードさせた「3つ」の素材とは

 主にアップグレードするのは、商品の「素材」である。具体的には、①乳脂肪分をアップさせた「ホィップクリーム」の使用、②セブン-イレブン専用にブレンドした「薄力粉」の使用、③北海道十勝産小豆の品種の一つで、専門店も使う「エリモショウズ」の使用、の3つだ。

平田氏は、「素材」を見直した理由について「お客さまは、“専門店に近い味”をコンビニスイーツに求めていることが、調査の結果明らかになった。リピーターを獲得する上でも、上質な素材を使うことが求められているのではないかと考えたから」と話す。セブン-イレブンは、全国にチルド洋菓子の専用工場を24か所所有している。ホイップクリームは製造する直前に泡立てるなど、素材の製造方法が独自に確立されているのだ。

「3つの素材」を使用した商品を紹介!

 これら3つの素材を用いた洋菓子の新商品の一つに、「シュー・パティシエール」(173円、以下すべて税込)がある。①の乳脂肪分をアップさせたホイップクリームと発酵バターを加えることで、濃厚な味わいを届ける。この商品については、「価格、おいしさをふくめて、従来のシュークリームの延長線上の商品とは考えていない」(平田氏)そうで、専門店品質を追求する。製造工程においても、シュー生地を人の手で一枚一枚乗せて焼き上げるなど、手間がかかっても本格的な味を届けようとしている。

新商品の「シュー・パティシエール」

また、「イタリア栗のモンブラン」(346円)は、前述のホイップクリームを使用するほか、②のセブン-イレブン専用にブレンドした薄力粉を使用することで、ふんわりした食感を楽しめる商品になっている。

 さらに、和菓子の新商品として、③の北海道十勝産小豆「エリモショウズ」を使用した、「北海道十勝産小豆使用豆大福」(151円)と、①と③を使用した「ふわっとどら つぶあん&ホイップ」(227円)をローンチする。

 「エリモショウズ」は栽培が難しく、通常の十勝産小豆は4年に1回収穫できるが、同種は8年に1回と、時間がかかる。ただ、あんこに適した小豆であるという。製法にもこだわる。あずきをゆでる際に沸騰してからゆで汁を捨てる「渋切り」を従前までの2回から1回に変更した。これは、あんこの「うまみ」を捨ててしまわないようにする工夫だ。

「エリモショウズ」を使用した「ふわっとどら」

販促には声優を起用! コアなファン呼び込む

 原材料価格の高騰により、商品の値上がりも本格化しているが、「豆大福」と「つぶあん&ホイップ」、「モンブラン」については、従来販売していたものと同価格で売り出すという。輸入物の原価が高騰しているが、セブン-イレブンでは国産原材料の活用に力を入れていく方針で、平田氏も「相場高がつづくなか、国産の原料を使った商品は増やしていきたい」と話す。

 販促については、SNSで有名声優陣を起用したプロモーションを打つという。声優の登用は、すでに過去2回実施していて、「コアなファンが来店したというデータが取れている」(平田氏)そうだ。

 スイーツ商品の全面リニューアル、特に「素材」にこだわった商品のアップグレードに踏み切ったセブン-イレブン。平田氏も「スイーツでリピーターを獲得できれば、強力な来店動機となる。自信をもって“おいしい”と言える商品をリリースできるのが楽しみ」と意気込んだ。