東京都、神奈川県に食品スーパー(SM)19店舗を展開する文化堂(東京都/山本敏介社長)。同社の総菜部門はインストアベーカリーの導入や高付加価値商品の開発、スイーツを中心とする若年層向けのメニュー開発など新たな取り組みに次々と挑戦し、好業績を収めている。
インストアベーカリーが売上を押し上げ
コロナ禍の1年目である2020年度は、総菜のトップカテゴリーである揚げ物のバラ売りができなくなり、総菜部門が苦戦を強いられるSMが多くを占めるなか、文化堂の総菜売上高は既存店19年度比2%増を達成した。ウィズコロナが日常化した21年度も、19年度比で17%増と好調を維持している。
その大きな要因として、月間20~30アイテムの総菜開発をほぼ1人で担当する、商品統括部生鮮四課課長の田上聡史氏はインストアベーカリーの導入を挙げる。「コロナの感染拡大が本格化し始めたころ、当社の総菜部門では新たにインストアベーカリーの導入に踏み切った」(田上氏)。部門は分けず、総菜部門がインストアベーカリーも運営する。
当時、SM業界では52.6%(2019年「スーパーマーケット年次統計調査」報告書より)の店舗がインストアベーカリーを導入していたが、文化堂では「文化堂西馬込店」(東京都大田区)の1店舗のみだった。そこで同社は20年4月以降、約半年かけて導入店舗を拡大。現在、17店舗でインストアベーカリーを展開している。
しかしながら、導入を決めた当初は大きな課題に直面していた。文化堂の店舗の大半は売場面積300坪程度で、「一からパン生地をこね、それを発酵させる設備を導入するだけの余裕はなかった」(田上氏)という。そのため、スチームコンベクションで焼くだけで本格的なベーカリーを展開できないものかと、取引先を必死に開拓し、簡単な工程で商品化できるクロワッサンなどを中心に売場を構成した。現在、ワッフルなども含め、スチームコンベクションだけで本格的な味を再現できるものが20~30アイテムある。
消費者目線のPOPで商品価値を訴求
文化堂では
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