「無印良品」を運営する良品計画(東京都/堂前宣夫社長)は近年食品強化の姿勢を強くし、一部の店舗では生鮮食品を取り扱うなど食品スーパー(SM)の領域に近づいてきている。そんな同社が次にチャレンジしているのが自社開発の総菜だ。本稿では、スタートを切ったばかりの無印良品の総菜戦略について解説する。
無印良品初の中食サービスを開始
良品計画は2022年1月14日、東京都豊島区の本社1階に新店舗「MUJIcom東池袋」(以下、東池袋店)をオープンした。同店は、無印良品で初の中食サービス「MUJI Kitchen」を展開する地域密着型の小型店だ。もともと無印良品では、一部の店舗にて協業先が運営する総菜売場を導入したり、仕入れの弁当を販売したりしていたが、自社で店内製造する総菜を提供するのは東池袋店が初めてである。
良品計画は21年7月、堂前新社長のもと3カ年の中期経営計画(22年8月期~24年8月期)を発表。そのなかで「地域への土着化」を掲げる同社は、地方や無印良品がまだ出店していない地域においては、すでに地域密着度の高いSMに隣接するかたちで600坪超級の標準店の出店を進めているほか、人口60万人規模の商圏ごとに、生活に必要なものすべてが揃う2000坪超級の大型店を開発している。一方、都心部の住宅街など小商圏においては最適なフォーマットを模索している状況だ。
東池袋店は、都心部における地域密着型店舗の1つの“可能性”を探るべく出店した実験店である。コロナ禍で中食のマーケットが広がっているほか、住宅地などより生活圏に近づいた場所で日常的な利用につなげるため、自社総菜にチャレンジした。また、外食業態の「Café&MealMUJI」(以下、カフェ・ミール)がまだ全国に約30店舗しかないなか、「自社製造のメニューを外食業態が併設されていない店舗にも広げ、無印良品の食品の認知度を高めたい」(食品部事業開発担当事業戦略担当課長 片山隆幸氏)というねらいもある。一部の店舗では、カフェ・ミールでつくった弁当を近隣の店舗に供給して販売するという実験も行っている。
同じ具材でも味付けを変更
MUJI Kitchenでは、“素の食”をテーマに、野菜を中心に季節の素材やこだわりの食材を使用する。商品開発にあたっては、
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