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ノンアルコール飲料市場、健康志向を背景に好調に推移ビールテイスト以外のバリエーションも

ノンアルコール飲料はコロナ禍による家飲み需要の増加と健康志向の高まりを背景に市場が拡大している。同カテゴリーに対する認知も広まり、定番のビールテイスト飲料だけでなく、ノンアルコールのレモンサワーやワインなど、商品ラインアップも多様化している。

※ノンアルコール飲料とは、「微アルコール(1%未満)」を含みます。

ビールテイスト・低アルコール、ともに2ケタ増の大幅伸長

 KSP-POSによると、ノンアルコール・ビールテイスト飲料カテゴリーの2021年3月から22年2月の期間通算金額PIは、前年比17.8%増の3375円、数量PIは同19.4%増の13.83と、金額・数量ともに前年を大きく上回る結果となった。

 月別の金額PIの推移を見てみると、21年8月を除きすべての月で前年比2ケタ増となっており、とくに21年7月は同38.9%増の大幅伸長で、市場全体が好調であることがわかるだろう。

ノンアルコール飲料のカテゴリーに対する認知も広まり、定番のビールテイスト飲料だけでなく、ノンアルコールのレモンサワーやワインなど、商品ラインアップも多様化している。(i-stock/Julio Bonfante)

 20年2月以降、新型コロナウイルスの影響により、生活者のライフスタイルが大きく変化。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により外飲みから家飲みへの流入が加速しており、家庭用酒類の需要が拡大したことでビールテイスト飲料の需要も拡大している。さらに外出自粛による運動不足や健康志向の高まりから、カロリーや糖質を抑えた機能系のビールテイスト飲料を手に取るビール類ユーザーも増えている。

 ビールテイスト飲料の好調を受けアサヒビール「ドライゼロ」、キリンビール「キリングリーンズフリー」、サントリービール「オールフリー」といったビールテイスト飲料の主力ブランドは飲みごたえやキレなど、よりビールに近い味わいをめざし、相次いでリニューアルを実施している。

 またパナバックの「ヴェリタスブロイ」は、22年3月にバージョンアップを実施。より厚みと奥行きがある味わいに進化した。同品は9種の必須アミノ酸を含む19種類のアミノ酸をバランスよく含むことから、健康を気にする女性を中心に新たな顧客を獲得している。

ノンアルRTDにもレモンサワーの波

 その他低アルコール飲料の21年3月から22年2月の期間通算金額PIは、前年比22.5%増の894円、数量PIは同21.8%増の8.13とビールテイスト飲料同様、金額・数量ともに前年を大きく上回った。

 酒類のRTDでは近年レモンサワーが好調に推移しているが、その動きはその他低アルコール飲料にも波及。サントリースピリッツ「のんある晩酌 レモンサワー ノンアルコール」、サッポロビール「LEMON’SFREE」、コカ・コーラシステム「よわない檸檬堂」など、各社がレモンサワーテイストのノンアルコールRTDを発売している。

 RTDやワイン系のその他低アルコール飲料はビールテイスト飲料に比べパイは小さいものの、ステイホームの影響から爆発的に伸びている。とくに若年層は飲用率が他の世代より低い傾向にあることから今後も伸長が期待できそうだ。

 これまで運転を控えている人や病気・授乳期の人など、アルコールを摂取できない人向けのイメージが長年強かったノンアルコール飲料だが、近年は代替品としての飲用だけでなく、日中のちょっとしたリフレッシュやランチタイムなど、幅広いシーンで飲用されている。

 ワクチン接種が進み、まん延防止等重点措置が解除された4月以降、大型連休に向け旅行やアウトドア、イベントを楽しめる機会が戻ってくると予測され、ノンアルコール飲料の飲用機会も増えてくるだろう。POPを使った情報発信や6缶パックのまとめ買い訴求により来店客に気づきを与えトライアルの促進を図りたい。