内食機会の増加でご飯のお供である漬物の需要は大きく拡大したが、その反動で2021年は前年割れとなった。キムチも同様に微減となっている。漬物の価値を訴求して需要拡大を図りたいところだ。
漬物の生産量は4年連続の伸長
ご飯の消費量減少に加え、減塩傾向により漬物カテゴリーは長期的に減少傾向を続けていたが、2020年はコロナ禍による内食機会の増加で需要が拡大。21年はその反動で前年割れとなった。
食品需給研究センターの「食品製造業の生産動向調査」によると、21年の漬物の生産量は81万6627トンで対前年比5.1%増と4年連続の伸長となった。そのうち前年を上回ったのは、浅漬類(同2.7%増)、たくわん漬(同13.1%増)、キムチ(同13.9%増)、しょうが漬(同11.2%増)、粕漬類(同3%増)などだ。前年割れだったのは、らっきょう(同9.2%減)、梅干(同3%減)など。生産量は全体的に引き続き、堅調といえそうだ。
KSP-POSデータの浅漬けの期間通算(2021年2月~22年1月)の金額PIは、3032円で対前年同期比2.9%減、数量PIは16.93で同2.4%減。月別にみると、2~3月は前年を上回ったが、4月~1月まで前年割れとなった。ただ大きな落ち込みではないので堅調といえそうだ。
浅漬けカテゴリーでは、マルハチの「若もぎ小茄子」が好評だ。ぷりっと弾ける皮の歯応えと、あっさり塩味でジューシーな味わいが特長。ロングセラーの袋タイプに加え、カップ形態のシリーズ品を展開している。また、山形の家庭料理を商品化した「山形のだし」は、夏の需要期に冷奴や麺類の薬味としての需要が高まることから、豆腐コーナーや麺類のコーナーでの関連販売が効果的だ。
乳酸菌に注目が集まるキムチ たくわん、らっきょうは微減
キムチの期間通算の金額PIは、5937円で同5.4%減。浅漬け同様に4月から前年割れが続いている。キムチはそのまま食べるだけでなくキムチ鍋や炒め物など、料理でも活用されており、コロナ禍で需要は拡大した。また、キムチに含まれる乳酸菌に注目が集まり、美容や健康に気づかう人は毎日の食生活に取り入れている。東海漬物では、漬物由来の乳酸菌を配合した商品やにんにくを使用していないキムチなどを展開。また、単身者や夫婦世帯向けのパーソナルタイプのキムチを展開し、さまざまな需要に応えている。
漬物の代表であるたくわんの金額PIは3020円で同3.2%減。ご飯の消費量が減少したことで長期的にダウントレンドにある。一本物や刻みタイプなどが展開されている。健康志向を追い風に堅調に推移していた梅干だが、金額PIは2344円で同6.1%減。また、カレーに欠かせないらっきょうの金額PIは、894円で同0.4%減となった。
コロナ禍で在宅時間が増えたことで、自家漬けに挑戦する人が増え、「ぬかどこ」がヒットした。また、浅漬けやらっきょうなどはヘルシーなおつまみとして、家飲みニーズの受け皿となっている。漬物に対してポジティブなイメージが広がり、存在感は増していることから、引き続き価値を訴求して需要を高めていく必要がある。