コロナ禍による内食需要の高まりにより伸長した前年の反動で、21年のソーセージ・ハム類はともに前年割れとなっている。メーカー各社では従来の朝食や弁当需要のほか、料理素材としての活用など食シーンの拡大をめざし、新商品の投入やメニュー提案を行っている。
ハム・ソーセージの期間通算の金額PIは前年割れ
KSP-POSによると、2021年1月から12月のソーセージカテゴリーの期間通算金額PIは前年同期比1.9%減の1万8496円、数量PIは2.6%減の63.26と、金額・数量ともに前年を下回る結果になった。またハムカテゴリーについても、金額PIは前年同期比1.6%減の8826円、数量PIは1.0%減の34.58と金額・数量ともに前年を下回っている【図表】。
20年は新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が発令されると、加工食品を含めたまとめ買い需要が一気に拡大。少人数世帯の増加や朝食での利用減、プライベートブランドをふくめた価格競争等が影響し近年、微減傾向が続いていたハム・ソーセージカテゴリーも好調に推移したが、21年は1年前の反動を受け、前年割れに転じている。
月別の推移をみると、前年がコロナ禍の影響を受けていない21年2月までは前年を上回る数値で推移しているが、緊急事態宣言が発令され、自宅で過ごす時間が増えた3月以降、前年の数字が急激に伸びたことから21年については前年を下回る月が多くなっている。
ソーセージは朝食・昼食需要が高く、気温や季節の影響を比較的受けにくいカテゴリーだ。コロナ禍以降、家で過ごす時間が増えたことで、500g以上の大容量パックの動きがよくなっている。
ハムについてはパーティーメニューやギフト需要のある12月が最も金額が高いが、基本的には秋冬期よりも気温の高くなる春夏期のほうが伸びやすいカテゴリーとなっている。
料理素材としての魅力打ち出し、トライアルを促進
現状、ハムやソーセージは朝食時にそのまま食べることがメーンとなっているが、料理素材として使ったり、夕食のメーンディッシュにしたり、おつまみに利用したりなど、使い方を広げることで使用頻度も向上するだろう。
たとえば伊藤ハムでは「GAB丼」「GABドッグ」など在宅のランチ需要にもこたえる「The GRAND アルトバイエルン」を使ったお手軽メニューを提案。また新商品として夕食のメニューにも使いやすいボリューム感のある「The GRAND アルトバイエルン フランクフルト」を投入する。
日本ハムでは「シャウエッセン®」ブランドから「ホットチリ」や「とろける4種チーズ」などフレーバー入り商品を発売し、おつまみ需要や若年層の取り込みをねらっている。
さらに日本ハム・ソーセージ工業協同組合の「SDGs推進委員会」での取り決めに基づき、加工肉業界全体で環境配慮型パッケージの採用に取り組んでおり、ウインナーの巾着型パッケージを、袋状パッケージにすることでプラスチック使用量の削減につなげる動きが出てきている。
かつてソーセージ・ハム類は数ある加工食品の中でも試食販売の多いカテゴリーだったが、現在は感染症対策の観点から難しい側面もある。そのまま食べるだけでなく料理レシピと絡めて提案することで来店客に気付きを与え、特売に頼らない購買に結び付けていきたいところだ。